医者だった父の跡を継ぎ、医者になることを親戚中から期待されている明良。
しかし、本当はプロのバスケ選手になりたいという夢を抱えていた。
自分の気持ちをもて余しながら突入した中2の夏、ある事件をきっかけに、部活、友達、そして家族との関係が崩れはじめた―。
YAの名手・草野たきの新刊。
これまで女子中高生目線の良作を送り出してきた著者だが、今回の主人公は中2の男子。
自意識過剰でカッコつけ、自分では完璧に周りを取り繕っているつもり…。
思春期は男子でも女子でも同じなんだなぁ…。
自分で思っているものと、人から見えてるものって違う。
友達も家族も親戚も、みんな価値観が違い、それぞれ一人の人間として大切なものを抱えていた生きている。
そんな当たり前だけど見失いがちなことを気づかせてくれる作品。
登場人物は皆、人間くさく魅力的。
主人公以外の目線で書かれたこの物語も読みたいと思った。