「いやといったピエロ」 みんなの声

こんなものだとあきらめて、毎日を過ごすのはやめて、
きっぱりと団長に宣言をして、サーカスを後にした
ピエロとどうぶつたち。
彼らを待ち受けている困難を想像して、
心配しながら読み進みましたが
彼らの夢と希望は、誰に阻まれることもなく
着実にに前に進み、自分たちの手による
自由なサーカスを作り上げました。
とても幸せになった仲間たちのお話。
悩んでいる人に希望を与えてくれる一冊ですね。

ある日、舞台で団長の言うことに「いやです」と言うピエロ。
私も実際にこんなピエロがいたら嫌がるのもお芝居だと思ってしまうでしょう。
本当に団長を拒否している様子にびっくりしました。
ほかの動物たちもいっしょになっていやだと言い、彼らは彼らの夢を叶えます。
お話はわかりますが、縛られない自由なサーカスって楽しめるのかな？と少し思ってしまいました。
楽しいという彼らの新サーカスを私も一度どんな感じなのか見てみたいです。

この☆はウィルコンさんの絵に送るものです。
たまたま３冊続けて（＜くろねこのかぞく＞、＜月がくれたきんか＞）、ウィルコンさんの絵本に出会いました。どれも登場者すべてに（悪と思われるものに対しても）思いやりを感じる暖かい絵で、お気に入りの作家となりました。

この話は、言われるままに使われる状況に別れを告げ、「自分の得意なことを生かす」場を求めて旅に出たピエロと動物たちの話です。今の世の中、こういう人が増えてきたよなあ、という印象。この選択のもたらす結果の善し悪しは様々な要素が絡み合って、出会いがあって、決められることだと思います。

それはさておき、ピエロと行動をともにする動物たちの愛らしいことも魅力。
この絵があってこそ、この話を穏やかに見守ることができました。

サーカスに登場したピエロとロバが団長の言うことを聞かないのです。
ピエロは、人から指示されたことをするのが嫌だ！と
賛同する動物達と旅に出てしまいます。
やがて、自分達の好きにできるサーカスを作り、嬉し涙を流すのです・・・。
何とも暗示的な展開です。
飛び出す時の緊張感、次のステップまでの不安・・・。
きっと何か新しいことをするとき、思い出せる絵本ではないでしょうか。
子ども以上に大人がキュンっとなってしまいました。