誰しも、おつりが少なかった時「少なかった」と言いにいくことは
できますが、多かった時「多かったよ」とはなかなか言えないもの
です。子どもでなく大人だってそう。もしかしたら、大人の方が、
なおさら言えないかもしれません。
「にいちゃん」と「ぼく」は、「50円多かった」と、たこやきや
さんに言うことができて。
たこやきやのおっちゃんは「しょうじき50円ぶん」として、
にいちゃんとぼくに、新たにたこやきを作ってくれました。
そのたこやきを食べながら、よかった、おいしい、さいこうと
思いながらきょうだいは帰るのですけど、その気持ちは
「ほめてもらえたから」「またたこやきを食べることができたから」
ではなかっただろうなって思いました。誇り、というか「自分は
正直でよかった」という、すがすがしい気持ちになることが
できたからだろうなって。