この話の中で一番、私が気に入ったところは、ジェラルディンが生まれて初めて音楽を
聞いた時のところで、
おとはますますはっきりし、ふしがつき、やがてみえない きんとぎんのいとの
ように くうちゅうをただよった。
と言う箇所です。
“みえないきんとぎんのいとのように”なんて、なんて綺麗な表現でしょう!
そして、その言葉にぴったりのレオ・レオニの挿絵が、音符のマークなんて安直なものを
使わなくても、その何本かの柔らかい線で音楽だと感じさせられ、更にそのフルートの
音色すら読み手の心の中に聞こえてくるような感じがすごいと思いました。
この話の結末をみて、音楽とは体得するものなんだなと、それを妙に言い当てている
ところが笑えました。とても不思議な話ですが、とても神秘的で、心に残る話でした。