ひがしちからさんは、「ぼくのかえりみち」がとても良かったので、他の作品を読もうと思っていたところ、新刊を見つけたので読んでみました。
題の「ぼくひこうき」?って、日本語として違和感があったのですが、途中でその意味がわかります。
それにしても、表紙のインパクトは絶大。
主人公のせいくんの、紙飛行機を飛ばそうとする瞬間の真剣な眼差しに圧倒されます。
物語は、幼稚園が舞台。
主人公のせいくんがお部屋で遊んでいると、
みちこせんせいが「おりがみ 欲しい人ー」と聞くシーンで始まります。
みんな大喜びでおりがみを貰いますが、せいくんは飛行機を作ります。
そして、みんなで飛行機の飛ばしっこ競争の開始です。
せいくんの飛行機は、どの飛行機よりも速く飛んでいくのですが、いつの間にか、飛行機の目線はせいくんのそれとなり、一体化しているのです。
トンネルを潜り、太鼓橋の下を飛び、ジャングルジム等を抜けて、滑り台を駆け上り、大空へ飛び出します。
園を俯瞰したり、海を見渡すのは、正にせいくんの目線。
みちこせんせいの声に呼び戻されて、園に帰るのですが、しっかりとせいくんを受けとめてくれるシーンが良いです。
この絵本を読み聞かせると、おそらく、自分も飛行機になった感覚で聞き入ることになると思います。
ひがしちからさんの作品は、その目線の変化の妙にあって、いつの間にか自分も絵本の世界にいるかのような錯覚に陥るところにあると思います。
この絵本も、文句なしに面白く、オススメします。