スウェーデンの詩人が1882年に、小人トムテを讃えて詩を作り、1960年に画家が絵を描いて出版された。2019年の現代でも楽しめる作品。
長い時間を生きるトムテは、人間と共に暮らしながら、毎日決まった自分の仕事を淡々と行い続ける。納屋を見回り、動物たちと話をし、家の人間たちの眠る姿を見守り、自分はひとり、屋根裏で暮らす。静かな生活の中、彼は哲学する。人間は、どこから来て、どこに行くのか?命の源を探究する彼の問いかけに、答える者はいない。
冬の夜に、静かに楽しみたい作品。長い時間を行きぬいた作品がもつ、どの時代にも通用する良さが感じられる。地味で、静かで、パッとした鮮やかさはないが、噛みしめる程に味わいを出す。この作品は、誰でも受け入れてくれる懐の深さがある。特に、いろいろなことを経験していった大人たちに贈りたい。
この絵本をゆっくり楽しむ時は、きっと贅沢な時間となり、心を癒してくれると思う。