5歳になっても、夜ひとりでトイレにいけないおくびょうな豆太とおじいちゃんの二人暮らし。
渋いお話だけど、滝平さんの切り絵の見事さがとても感動的な絵本に仕上げています。
豆太がなづけた「モチモチの木」が、豆太にとっておいしいモチを授けてくれる木であったり、お化けのような怖い木であったり。豆太の心にとても大きな存在です。
冬の夜モチモチの木に灯りがともるという言い伝え。
豆太は怖くて出られないけれど、おじいさんがおなかを傷めて医者を呼ばなければといったときには、無我夢中でよるの山道を駆け下ります。
優しさは人を強くするという言葉がびったり。
豆太は灯りがともったモチモチの木を見ることができました。
おじいさんの具合が良くなったら、また臆病な豆太に戻ってしまったけれど、きっとこの体験は豆太を育ててくれるでしょう。
お話のことを書くと素晴らしさが充分に伝わらないのですが、おじいさんと豆太、そしてモチモチの木とお医者さん。登場するものが少ないので、滝平さんはそれぞれをとても象徴的に描いています。
お話とともに絵が心に残りました。