夏になると読みたくなるスイカの絵本。
白土あつこさんの代表作「たっくんとたぬき」シリーズの1作で、四季のうち夏をテーマにしたものです。
おかあさんに頼まれておじいちゃんちにスイカを届けに行くことになったたっくん。
途中の山道でたぬきと出会い、スイカを食べようと誘惑されます。
もちろんたっくんはその誘惑をはね除けて任務を完遂しますが、スイカを食べる段になってふと山道に置いてきたタヌキのことを思い出す。
スイカ2切れを持って山道を戻るたっくん。
タヌキと一緒にスイカを食べ、種を植えて来年はスイカ割りとスイカ提灯作りをすることを約束します。
たっくんはおじぃちゃんの元でスイカを好きなだけたくさん食べるよりも、カンカン照りの山道で暑い思いをしているであろうタヌキを思い、一緒にひと切れずつ食べることを選びます。
思いやり、分かち合う。
誰かと共にある喜びをこの絵本は教えてくれます。
丸い顔のたっくんとタヌキが持っているのは真ん丸の大きなスイカ。
一際目を引く表紙です。
おつかい途中の山道は長い道のりに見えるように斜めに道が描かれ奥行きが出されています。
またその道の頭上にはカンカン照りを示す黄色い太陽が。
スイカを諦めてたっくんを見送るタヌキの後ろ姿と、トボトボ歩き去るときの猫背ぶりが哀愁漂っているのも良いです。
裏表紙にはスイカの食べ殻が2つ。
皮のギリギリまで食べて白くなってるところや飛び散った種に、「良かったね、来年が楽しみだね」という気持になりました。