自分があったことのない父親を、お母さんはこんなにりっぱなおとうさんだよと話してくれた。
ここで書かれているのは、子どもにとっての理想の父親像かもしれない。
そして、父親の私にとって教科書的な本だと思った。
ここで話を終わらせると、この絵本を正しくレビューしたことにならないかもしれない。
文章と絵に何か違和感を感じた自分は、奥付にかかれた訳者のコメントに目が止まってしまった。
作者の意向で父親の不在の理由を戦争で死んだことにしたこと、それに伴い文章の細部を多少変更したことが書かれている。
原題は「A Father Like That. このようなお父さん 」である。
洋書を探して得たものは次の通りである。
おとうさんは、自分が生まれる前に「行ってしまった」のであり、「もう決して戻ってこない」のである。
戦争で死んだのではないだけではなく、どこかで生きているのかもしれない。
さらに、翻訳する際に、原本の絵を一枚抜くことによって、話の流れを大きく変えてもいた。
描かれるおとうさんは、日本語訳より人間的で自分にとって身近な父親像。
日本と、アメリカで理想な父親像の違いだろうか。
だからと言ってどちらが良いという話ではない。
どちらを読んでも感動したものである。
ただ、原本の方が文章と絵がマッチしていた。
お父さん、難しい本ではないので、訳本と原本を読み比べると、父親認識を深める参考になると思います。