酒井駒子さんは絵も素晴らしいですが、この絵本では文章でも凄さを見せてくれました。
多分、これは酒井さんにとっての冒険ではなく、酒井さんにとっての自然体なのではと思いました。
8+1話の情景ですが、実際には3つのお話。
1話、2話と3話以降のつながりはよくつかめなかったのですが、全体を□ちゃんストーリーとすれば、時間軸になるのでしょうか。
1話と2話に登場する女の子が□ちゃんと同類項に見えるのですから。
私の好きな酒井さんのざらついた絵で語られる物語。
□ちゃんは多分ごく普通の女の子なのですが、この物語の表現は「子どもの気持ち」といった表層的な捉え方ではなく、もっと奥深いところ、深層心理というよりもサガといったレベルのありふれた日常の中のゴツゴツした部分を表現しています。
酒井さんは文章もざらざら感があって、絵の表現と一体なのでした。
はっきり言ってこの感覚はとても好きです。
もっともっと酒井ワールドを展開していただければと思いました。