幼稚園のよみきかせの時間に読む絵本の候補として手に取りました。
力強い絵で動物や虫たちをえがいた田島征三さんの作品は、
子どもにも人気があり、私も好きだったので。
いろいろな意味で期待を裏切られた作品です。
評価は「自信をもっておすすめしたい」ですが、はたして
幼稚園児に読んできかせるのに適しているかどうか・・・迷います。
私はこの絵本を読んで「あらしのよるに」という本を思い出しました。
肉食動物のオオカミと、その餌になるヤギが偶然出会い、
友情(愛?)が芽生え・・・というお話ですが、
きれいごとですまされる話でなく、読後にずっしり重たいものを感じます。
カマーくんとオヤツちゃんの物語は、ユーモラスな明るいタッチの絵で、
さらっと読めるのですが、とてもハッピーエンドとは思えません。
オヤツちゃんが危険にみまわれるたび、身を賭して助けるカマーくん。
足は折れ、カマも失い、満身創痍の状態です。
そして最後は、おぼれたオヤツちゃんを救うと同時に自分が流されてしまう・・・
最後のページでは葉っぱの舟にのって明るい笑顔のカマーくんですが、
カマーくんが助かるとはとても思えないのです。
カマーくんは、自分の命とひきかえにオヤツちゃんを救ったのです。
子どもに読んだら、きっと大喜びしてキャッキャと笑うだろうけれど、
私のほうがつらくて読めないな・・・と思ってしまいました。
やはり田島征三さんはすごいです。