いのうえようすけさんの ゆらゆらとした絵が、「『ふしぎなやどや』のお話の不思議な感じをよく表していると思いました。そして、町のざわめきや一癖ありそうな宿屋の客たちの雰囲気、宿屋の女主人の奇妙な様子が絵本の中からこちらに迫ってくるようでした。
夜中、女主人、三娘子が繰り広げる妖しい不思議な出来事。私も主人公と一緒に そっと覗き見ているようで、ドキドキしてきました。勧善懲悪的なお話ではあるのですが、最後、三娘子は悔いるわけでも謝るわけでもなく、走って逃げていきます。読後、なんだか ぽかんとしてしまいました。こういうのは大陸的なのかしら?走り去る三娘子の表情がちょっと恥ずかしそうな感じで面白いです。
子どもの心に深い印象を残す絵本だと思います。