あまりにも悲しいお話なのです。でも、岩崎ちひろさんの描くひさ像が本当にしっくりとしていて、なんとも言えず、心に残る絵本なのです。
大人しくて、存在感のないひさ。でも、彼女は、実はとても強く優しい心を持った女の子でした。
自分の身を犠牲にしてまでも弱い者を助ける。しかも、一度ならずも、二度までも・・・。いえ、彼女ならば、生きている限り、何度でも同じことをしたのかもしれません。
私は、なぜ悲しいのに、このお話が好きなのでしょう。
それは、彼女の中に、本物の美しさを感じるからなのではないでしょうか。
そうして流した涙で、心が洗われた気持ちになるからではないでしょうか。
子供たちにも、そんな涙を流して、何かを感じて欲しい、そんな素敵な絵本です。