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絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  47都道府県がだじゃれになって登場!『だじゃれ日本一周』 長谷川義史さん インタビュー

絵本ナビユーザーの皆さん、お待たせしました! 長谷川義史さんがインタビューに登場です。ご紹介するのは長谷川さんいわく「バカバカしいだじゃれ」満載の絵本、『だじゃれ日本一周』(理論社)。47都道府県すべての人に向けた、お腹の底から笑える人気絵本です。今回は長谷川さんのご自宅と隣接しているギャラリー「空色画房」でおはなしを伺いました。『だじゃれ日本一周』のおはなしから、「(読者の方の反応を)受け止める覚悟ができた」と描いた平和の絵本、そして“あの犬”も登場する大充実のインタビュー。お楽しみください。

  • だじゃれ日本一周

    みどころ

    47都道府県をだじゃれで笑い飛ばそうという試み。
    「いいかげんに滋賀県」のようなズッコケ笑いが、長谷川さんの絵で全面展開!

この人にインタビューしました

長谷川 義史

長谷川 義史 (はせがわよしふみ)

1961年、大阪府生まれ。グラフィックデザイナー、イラストレーターを経て、『おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん』(BL出版) で絵本デビュー。『うえへまいりまぁす』(PHP研究所)、『やまださんちのてんきよほう』 (絵本館)、『きみたちきょうからともだちだ』(朔北社)、『おへそのあな』(BL出版)、『スモウマン』『いろはのかるた奉行』(講談社)など、ユーモアあふれる作品を発表。2003年、『おたまさんのおかいさん』(解放出版社)で講談社出版文化賞絵本賞、2005年に『いろはにほへと』(BL出版)で日本絵本賞を受賞。2008年に『ぼくがラーメンたべてるとき』(教育画劇)で日本絵本賞、小学館児童出版文化賞を受賞。

全国津々浦々、幅広い年代に愛されるだじゃれ絵本登場!

『だじゃれ日本一周』が発売されたのが2009年になりますが、この絵本を作ったときのことを覚えていますか?

もちろん。ぼくはいっぱい本を出しているけど、作ったものはみんな覚えていますよ。この絵本は理論社の編集者から、「言葉遊びの絵本が作れないでしょうか?」という依頼があって、ぼくは前から作りたいと思っていた、47都道府県をだじゃれにして、全国を紹介する絵本が作れるんじゃないかと提案したんです。

『だじゃれ日本一周』のアイディアはかなり前から温めていたんですね。

それで、「きょう いちにち ひまねけん(島根県)」とか5、6個思いつくままにいってみたら「面白いですね。ぜひ絵本にしましょう!」って。絵本にすることは決まったんだけど、それからが大変やった。20県くらいのだじゃれはすぐ出てきたんだけど、残りの県が全然でてこなくて……。電車ん中とかでずっと考えて、思いついただじゃれはすぐにメモを残して、もう最後の5つはダのダのだじゃれみたいなもので、だじゃれになっていないのもあるんだけど、とりあえず47個ひねり出して……。

47個もだじゃれを考えるのは相当、大変ですよね。長谷川さんは「ダのダのだじゃれ」といっていますが、2つの県でひとつにつながっているだじゃれと絵はとても面白いと思いました。

最初、自分なりに隣り合わせの県が対向ページになるように組み合わせていって、これとこれのダジャレは合わないから、ちょっとこっちのだじゃれを変えよう……と構成していき、今のページに整えました。

聞いているだけで、頭の中がこんがらがってしまいそうです……。文字が決まった後、絵を描くのはスムーズに進んだのですか?

そう、そのアイディアは自分でも良かったと思う。なんとか47個ひねり出したんだけど、1つずつ並べただけじゃ弱いと感じたんで、次に組み合わせてひとつの場面になるというカップリング作業をしました。

よく見ると、この見開きで紹介されている県は、隣接する県がセットになっていますよね。

だじゃれを考えつくまでの苦労が半分だとしたら、47都道府県を描き分ける作業がもうひとつ大きな苦労(笑)。各地の名所旧跡、有名人、名物……それを全部調べて、そこから絵にするものを選んでいく作業を1人でやらなきゃならんて、えらいことになった! どないしょう……と思ってたんです。そしたら、埼玉県の図書館に講演会で行ったとき、そこの司書さんに「47都道府県のだじゃれの絵本を描いているんですけど、資料集めに苦労しています。何かないですかね?」って聞いたら、5分もせずに何冊か本を持ってきてくれたんです。その中の1冊に都道府県の説明と名所の写真が載っている子ども向けの図鑑があって、思わず「素晴らしい! これ、貸してください」って。

貸してくれたんですか?

本当はあかんのですけど特別に貸してくれたんですよ。それがすごく助かりました。

埼玉県の司書の方のファインプレイ! その図鑑を見て、描きたいものを選んで行ったんですね。1つの県に5〜6個くらい名所や名物が乗っていますが、描く基準やルールはありましたか?

見て面白いものや特徴のあるもの、みんながよく知っているものは入れたいと思いました。でも、この名所とあの名所が、本当は隣り合っていないのに、絵の中では隣り合わせなければいけないから、バランスを考えながら描くのは難しかった。ぼくの絵が写実的なリアルな絵だったら、こうはならなかったと思います。

おはなしを伺えば伺うほど、長谷川さんの作品の中でも、徹底的に準備をして取りかかった絵本なんだなと感じました。出版したときはこんなに人気が出ると思っていましたか?

思っていなかったですよ。苦労した割には、こんなもん誰が買うねんって思っていましたから。

そうなんですか? 意外です。

まあ、言葉の面白さというのと、だじゃれで日本一周をやっている絵本もはじめてだったし、対向ページで完結させているテンポの良さも功を奏したと思いますね。

だじゃれの面白さもポイントだったと思います。

あと、つまらなさ(笑)。つまらないからこそ良かったと思うんです。スカッとするだじゃれを描いても面白くない。「しょ〜もな〜、こんなん、おれでも書ける」という、そこが人々を喜ばせるんですね。ためになることとか1個もなくて、徹底的にアホみたいなだじゃれだったから良いと思うんです。でも、面白いという大前提があるから、都道府県に興味を持ってくれるようになる。作っていたときは予想だにしなかったですけど、子どもたちが都道府県を覚えるきっかけとして、小学校とかで読んでくれるんですよ。意外でした。

「今日は大阪のことを勉強します」といわれるとやる気がなくなるけど、この絵本から入ったら、この人は誰だろう? この建物はなんだろう? って知りたくなりますよね。

それと、もうひとつ意外だったのは、お年寄りも見てくれるんですよ。ケアハウスとかで読んでくれた方がいて、そこにいらっしゃるお年寄りが、親しみを持ってくれたそうです。そういう楽しみ方を年配の方はしていただいているみたいですね。

子どもからおじいちゃん、おばあちゃんまで、幅広い年代に愛されている絵本なんですね。

いくつみつけられるかな? 絵本に出てくるあの人、このキャラクター

今回、改めて『だじゃれ日本一周』を隅々まで読んで、ようやく気づいたんですが、どのページにも必ず、1ページ目でラーメンを食べている子が出てきますよね。

そう、この子は『どこどこどこ いってきまーす』(ひかりのくに)に登場する「どんぐりぼうや」なんです。

神奈川では江ノ電に乗っていたり、静岡県では富士山に登っていたり、どんぐりぼうやがどこにいるか探しながら絵を見ていくのも楽しいですよね。

子どもはしっかり見てくれますからね。どんぐりぼうやはもちろん、名産とか名所とか、知っている所のものはしっかりと見つけてくれます。

大人もしっかり見つけなくちゃ! と思うんですが、ついつい、絵本についている小冊子「『だじゃれ日本一周』を3倍楽しく読むヒント」を頼りに探してしまったりします……。でも、今回は絵本ナビらしく、“絵本しばり”でいろいろ見つけてみたいと思います。まずは、<初級編>長谷川義史さんの絵本のキャラクター!

<初級編>長谷川義史さんの絵本のキャラクター

左から、『大阪うまいもんのうた』の男の子、『ぼくがラーメンたべてるとき』のどんぶり、『いいからいいから』のかみなりさん、おじいちゃん。

<上級編>絵本作家さん&他の絵本作家さんのキャラクター

左から、高畠純さん、せとうちたいこさん、旭山動物園の看板

高畠純さん! ソックリ! (一同笑い)

岐阜県が生んだ、絵本作家(笑)。高畠さんは中川ひろたかさんと組んで、「だじゃれえほん」シリーズ(絵本館)を描いているでしょ。だから敬意を称して。

『えっちらおっちら日本だじゃれ旅』(絵本館)の中の長谷川さん

高畠さんは絵本に出てくることを、ご存知なんですか?

高畠さんからは返しがちゃんとあって、その後出た絵本に、僕を描いてくれたよ。

それは嬉しい絵本のやり取りですね。この旭山動物園の絵は、あべ弘士さんが描いた看板ですよね。

これはあべ弘士の絵を真似して描きました。本人何にも言っていないけど……あべ弘士っぽく描いているでしょ。

ソックリです! 先ほど、隣接する県同士を対向ページに描いて、ページを構成したと伺いましたが、最後に「もう このへんで あきたけん(秋田県)」「ほな このへんで おきなわけん(沖縄県)」「じゃあ はじめから もっかいどう(北海道)」とオチまでついて、登場する順番もいろいろ考えられている様に感じました。

それはありますね。最初にインパクトの強いだじゃれを出してしまうと、読者が置いてけぼりになるので、最初は分かりやすい、簡単なもので肩慣らしをして、じょじょにくだらないものに持っていく……。

私、千葉県出身なのですが……、

ああ〜〜、それは申し訳ない。講演会とかでいっつもいいますけど、このページが一番くだらないページなんです。でも、子どもは一番笑います。くだらないだじゃれの最高峰。あと、こんなんいうたら失礼やけど、千葉県は…描くもんなかった。なんかないですか? お城とか?

 うーん……。成田空港に、九十九里浜に落花生……この絵には千葉県が全部入っていると思います。最後のオチに向かう直前に、広島と長崎が並んでいるページがありますが、これも考えていたんですか?

最初はただ、だじゃれとしておでこが広いのと鼻の下が長いというのでくっつけていて、あとで気づいた。広島と長崎をくっつけているんだ、ってね。

平和へのメッセージをストレートに込めた作品『ぼくがラーメンたべてるとき』『8月6日のこと』

取材に伺った今日、2015年8月7日。昨日は8月6日ということで、平和へのメッセージをストレートに込めた作品について伺えたらと思います。その最初の絵本が『ぼくがラーメンたべてるとき』(教育画劇)。この絵本を最初に見たとき、おはなしの内容と、長谷川さんがこの絵本を描いたということに正直、ビックリしました。

基本的には、こういうタイプの絵本もユーモア絵本も根底にあるのは同じ気持ちなんです。『いいから いいから』(絵本館)だって、争い事はやめて、相手のことを許しあうということが「いいから いいから」ですから。平和であってほしい、人が自由で平等であってほしい。人の生き方を束縛、干渉、強制しないという、平和のメッセージが込められているんです。

では、根底に流れる思いは同じで、アプローチの仕方を変えているということ?

そう。面白くしたり、シリアスにしたりと、表現を変えることはあるけど、ぼくの中では、大きく違うことではないです。

描くときの気持ちや、意気込みなどは変わりますか?

『ぼくがラーメンたべてるとき』は、同じ時間の中で、いろんなことが起こっているというのを表現したけれど、そんだけメッセージを発信するんですから、当然、反応が返ってきます。だから、覚悟はいりましたね。「決意」というと大層やけど、そんな意識はありました。

実際にどんな反応が返ってきたのですか?

例えば、男の子が最後に倒れている所で、「こういうのを描かないでほしかった」。裏表紙で立ち上がっている姿には「よく立ち上がらせてくれました」という人もいれば、「甘いことを描かないでください」という意見もあった。そうおっしゃっている方の気持ちも分かるから、軽はずみにはことは描けへんやんなと思うけど、メッセージ性の強い絵本はそれだけ返ってくるから、それを受け取る勇気はしっかりもっていないと、と思ってます。

この作品があったから、『8月6日のこと』(作:中川 ひろたか 出版社:河出書房新社 )や『へいわってすてきだね』(詩: 安里 有生 出版社:ブロンズ新社)などの作品が生まれたと思うと、ターニングポイント的な絵本のように思います。

そうやろね。こんなこと描く人やと思ってくれなかったら、依頼もなかっただろうし。

『8月6日のこと』では、中川さんのお母さんが生まれ育った瀬戸内海の大島に行ったそうですが。

行きました。絵本に登場するお兄さんのお墓参りや、中川さんのお母さんが広島を見ていた場所にも。この風景は見ないと描けなかったですね。見た景色、感じた空気を描いています。

今後もこういうアプローチをした作品は描き続けていきたいですか?

描き続けていくでしょうね。

今、進んでいる新刊にはどんな絵本が予定されていますか?

9月に出版されるのは家族がテーマの絵本。ぼくも出演しているMBS毎日放送の「ちちんぷいぷい」という情報番組で、あるアナウンサーが取材で南極に行くことになったんです。それで、日本にいるぼくと、南極に行く道中に毎日往復書簡をすることになって、いろいろやり取りをしていたら、南極に行っている間に、お子さんの幼稚園の卒園式があるってはなしを聞いたんです。

それは、お父さん辛いですね……。

そう。卒園式は親にとってもその子にとってもかなり大切ですから。そのはなしを聞いて、なんかできんかなって思ってたら、ふと「そつえんするよ」って言葉が下りてきた。「あ!」って真っ白な束見本を手に取ったら「おとうさん、ぼく、そつえんするよ……」ってものの1時間で絵本ができてしまったんです。それを絵本の形にして、南極から帰ってきたアナウンサーさんに渡したら、感動して泣いてくれたん。それを描き直した絵本が9月に出ます。

今のおはなしを伺ったら、どんな絵本なのか早く読んでみたくなりました。

きっかけはある家族のことだけど、それは広く、世のお父さんと子どものことにも当てはまると思うんです。仕事で子どもになかなか会えなかったり、出張で遠くに行かなければいけいお父さんってたくさんいるわけじゃないですか。だから、誰もが共感できるはなしだと思います。なかなか良い本です。

この絵本も平和へのひとつのアプローチなんですね。これからどんな絵本が長谷川さんから飛び出すのかますます楽しみになりました。最後に絵本ナビユーザーに向けて『だじゃれ日本一周』のメッセージをお願いします。

これ読んでもらいますと、バカバカしいだじゃればかりで、肩の力も抜けます。ただただバカやなって笑っていただけて、そして絵を見ていただくとなかなか面白い発見、盛りだくさんです。バカみたいな本ですけど、ある意味エンターテイメントな楽しみ方してもらえると思いますんで、ぜひ見てください。(しばらくページをめくりながら)久しぶりに見たら、やっぱりよう、細かいところ描いているな……。

1度、2度といわず、何度でも新しい発見がある絵本ですよね。

ぼく、東京のページに東京タワーを描いたけど、今ならスカイツリー、描かなきゃいけないでしょ。ぼくは描きたいっていったんですけど、「前の版までなかったものが突然出てきたら、読者が混乱するから」っていわれて。それが面白いやないかって思うんだけど……。

重版がかかるたびに、少しずつ変わっていく絵本というのも今までにないと思います(笑)。いつか『新・だじゃれ日本一周』としてちょっとだけ変わっている絵本も見てみたいです。今日は本当にありがとうございました。

編集後記

絵本ナビでは3回目となる長谷川義史さんのインタビュー。うだるような暑さの中、伺った空色画房は、窓辺から見える川の流れで暑さを一瞬忘れる涼やかな空間でした。取材の後、長谷川さんはウクレレ片手に京都の講演会に向かわれ、残された絵本ナビスタッフは原画をゆっくりと鑑賞させていただきました。すると、軽快な足音がして……、やってきたのは、絵本にもなった豆シバのチャイ! リアルチャイは、小柄で、活発でした(そしてシッポの毛が)。購入した『シバ犬のチャイ』(BL出版)の絵本にサインをもらいながら、いつか絵本ナビでもチャイ先生のサイン本が販売できたらいいな……と、空色画房を後にした絵本ナビ一行でした。


インタビュー・文: 木村春子(絵本ナビライター)
撮影:所靖子

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