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絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  絵本ナビがおくる 夏の図鑑特集2014第2弾講談社「MOVE」シリーズ インタビュー

映像のセレクトはいつも真剣勝負! 記憶に残るシーンを探しています。

───「動く図鑑MOVE」、いよいよ新刊登場ですね!今回の2冊も図鑑とDVDがピッタリと連動した、迫力満点!の内容、どちらも魅力的で本当に楽しめそうだと思いました。今回、MOVEのDVD制作担当である大上さんにお越しいただいていますので、どうやって映像をセレクトしているのかを伺いたいのですが…。


NHKエンタープライズの大上祐司さん

大上 「MOVE」のDVD映像は、NHK番組の中から特に選りすぐりのものをセレクトして制作しています。
私の担当は主に、自然科学番組班のディレクターから話を聞いたり、森定さんが求める映像を使用できるよう交渉し、図鑑の内容に沿ったDVD本編の映像制作を行うことです。

───DVDの映像は、どのように選んでいるんでしょうか?

大上: 今までの「MOVE」では森定さんと2人でセレクトしてきました。森定さんの頭の中には、昔からご覧になってきたかなりの数のNHKの番組の記憶が残っているんです。ぼくはその話を伺って、映像を探したり、さらに良い映像を紹介したりします。ときには、ぼくが紹介した映像からアイデアが生まれて新たに誌面を構成してくれることもあります。

森定 大上さんは創刊当時から関わってもらっていて、内容の構成を考える段階から、色々意見を交わして作っているんですよ。そういった中から、アイデアをもらって、内容を考えるような、通常の誌面作りとは異なるやり方も生まれてきました。

───お二人の綿密なやり取りがあるからこそ、映像と図鑑の内容がマッチしているんですね! DVD制作の最初の打ち合わせでは、どのくらいの映像の候補が出るのですか?


「MOVE」シリーズの生みの親、 ドクター・モーリーこと森定泉さん

森定 候補はかなりたくさん出してもらいますね。ぼくは結構よくばりなので…()


大上 創刊から2巻くらいまでは、連動というよりも要望のあった映像を探してきて出している感じでした。でも、最近は森定さんの目指す図鑑作りの意図が分かってきたので、それを超える提案もできるようになってきました。

森定: 子どもにとって図鑑って、怖いもの見たさなところがあるじゃないですか。特に昆虫や恐竜、は虫類は喜びますね。「動く図鑑MOVE」は創刊当初から、「子どもをびっくりさせたい!」をコンセプトにしています。ですから映像も説明的なものより、インパクトのある映像、記憶に残る映像を求めてしまうんです。子どものときに観た、すごい映像は一生心に残りますから。

───そういったやりとりは、どのくらいの期間をかけて行うものなんですか?

森定: 1年はかかっていないですね…。今回の「植物」や「生きもののふしぎ」に関しては、今年の2月くらいにはDVDの中身などが全部決まるペースで打ち合わせを行ってきました。

大上: もちろん、そこから映像の使用許可を交渉していったのでは間に合いませんので、必ず必要になる映像は早い段階から交渉に入っていきます。

森定: 真面目な打ち合わせをするときもありますが、雑談などの中の話から映像が決まることも多いんですよ。

大上: それは休みの日に一緒にニホンオオカミを探しに奥秩父に行ったときですね?

───えぇぇっ?! ニホンオオカミですか?

森定: そうです。カメラマンと大上さんと車でひたすら林道を走りました。運よく見つかったら、今回の「生きもののふしぎ」に使えると思ったのですが…。

大上: ニホンオオカミはすでに絶滅した生きものだと思っているんですが、森定さんの話を聞くと、もしかして本当にいるかもしれない、と信じたくなるのが不思議ですよね。

───以前、森定さんにインタビュー(前回のインタビューはこちら)を伺ったときに、「図鑑MOVE」が創刊したときのおはなしを伺いましたが、NHKの映像をDVDとして図鑑につけようと思ったのはなぜですか?

森定: 当初はいろいろなところから映像を借りようと思っていました。しかし、NHKの映像量、クオリティーがダントツなことと、NHKエンタープライズの方々もNHKの映像の活用方法を考えているというお話を聞いて、是非一緒にやりたいと思ったんです。でも正直、これだけのクオリティーのものを図鑑と一緒に2000円以下の価格で販売するとは…NHKエンタープライズさんも思っていなかったと思います。

大上: 正直、衝撃でした(笑)。図鑑も素晴らしいし、映像も負けないくらいのものを作っている。それなのにこの値段とは夢にも思いませんでした。でも、ぼくは森定さんの情熱にほだされたというか、森定さんが指名してきた映像が自分も好きな作品ばかりだったので全力を出しました…(笑)。

───番組の制作は紙媒体と大きく異なると思うのですが、どのような流れで映像が撮られていっているのでしょうか?

大上: 自然ドキュメンタリー番組の制作は、一瞬一瞬が真剣勝負です。番組のディレクターやスタッフは、長いときでは1か月以上海外に行き、ロケを行っています。だからこそ、生き物の詳細な生態を撮ることができるのですが、過酷なロケであることは間違いありません。「MOVE」の映像を観て、撮影している人たちの苦労とかも同時に感じてもらえたら、ディレクターの方々も喜んでくれるかなと思います。

───NHKの自然番組「ワイルドライフ」などは、大人向けの番組構成をされていますよね。そこから、子ども用のDVDに作り替える上で、こだわっている部分はあるんですか?

森定: 子どもが約60分飽きないような、映像の迫力やテンポ、ナレーションの言葉選びなどは大事にしています。面白いところをリピートさせる演出を入れたり、面白いところをあえて強調して言ってあげたりして、注意を引いたりします。


大上:ちょっとコミカルな音をつけたり、言葉であおってみたり、あえて映像を繰り返したりすることもありますね。




森定: 1回だと面白くないこともあるので…。ギャグの基本は「繰り返し」ですから(笑)。

───生き物を擬人化している所もすごく面白いと思いました。

森定: やはり、読者である子どもたちにとって、わかりやすく、興味を持ってもらえるようにしたいと思っています。同じ映像でも演出の仕方によって、大きく変わります。面白いところをきちんとピックアップして、分かるように見せてあげると、ずっと頭の中に残るんですよ。最終的に「小さいころに観たあの映像が忘れられなくて…」という「MOVE」読者が増えてくれたら嬉しいですね。


大上: 「MOVE」のDVDはNHK自然ドキュメンタリー番組の傑作選のような感じで、貴重な映像もいっぱい入っています。ディレクターの方々が決死の覚悟で撮った良質な映像を凝縮しているので、面白くしなくちゃいけないという使命は持って作っていますね。

───図鑑についているDVDとしてはありえないくらい、本当に贅沢な内容ですよね。

───今回の新刊「植物」はMOVEシリーズのスタンダード図鑑のコンプリート版の様に感じました。

森定: そうですね。スタンダードな図鑑ラインナップの中でまだなかった「植物」を今回発売することができました。

───「植物」の制作で難しかった部分はどんなところでしょうか?

大上: 「植物」を作ることが決まったとき、植物自体は動かないものなので、映像化したとき、どう動きを引き出すかが難しいなと思っていました。でも、実際にNHKのアーカイブス映像を探してみると、すごく生き生きとした映像がたくさん出てきて、安心したのを覚えています。

森定: 「MOVE」は毎回、カバーにも迫力のあるシーンを求めていますので、植物でどうやって「MOVE感」を出したらいいかは悩みました。



───ヒマワリの周りの虫や鳥に動きがあって、植物がまるで踊っているような…「MOVE」にピッタリの表紙だと思いました!

大上: 生き物を絡めたことで、植物の置かれている状況や、生存競争などがうまく表現できたと思います。

───図鑑の構成などで苦労された部分やこだわった部分を教えてください。

森定: 植物で考えたのは、どうしたら子どもが見やすい内容になるかという構成の部分ですね。大人向けの植物図鑑の多くは分類順に掲載されていますが、はたして、子ども向けもそれでよいのか…。そこをはっきりと決めるために、モニター会を開いて、親子にアンケートを取りました。そうすると、圧倒的に植物を生息地域ごとに掲載してほしいという要望が多かったんです。

───そうなんですか!それはなぜなんでしょうか?

森定: やはり、植物は「採集した場所」で調べることが多いと思うんです。
大人向けのDNA分類(※)だと、植物の名前やどの科に入っているかが分からないと調べられない…上級者向けだと感じました。
なので、「MOVE」では生息地域別の構成をとっています。ただ、エリアごとの紹介だけでも偏りがあると感じたので、「MOVE」では、最新のDNA分類も載せています。
それと、もうひとつこだわった点では、写真を多く掲載していることです。 


※DNA分類…植物それぞれの遺伝子情報を解析し、DNAに基づいて分類をした分類方法

───ひとつの植物に対して、葉や花のアップ以外に、季節による違いや実なども載せているページがあって、華やかで見応えがありますよね。

森定: 今までの子ども向けの植物図鑑は、植物を精密画で紹介することがメインでした。しかし、イラストだと似た植物は区別がつかないのではと思ったんですね。なので写真を多く使って、特徴的な部分をアップにしたりとこだわっています。 だからといって、イラストをないがしろにするのではなく、イラストはそれにあった使い方をしています。

───ページいっぱいに、生息している環境を載せている部分ですね。あのページがあることで、実際の様子や虫たちとの関係など、想像力が膨らみますよね。

森定: 実際に生息している様子を忠実に再現して、小さい子にも分かるようにしています。「MOVE」を持って外に出てもらえれば、その季節とエリアに生息している植物は見つけやすいと思います。



───先ほど、植物は動かないので、映像のセレクトは難しいと思った…とおっしゃっていましたが、その苦労を感じさせないくらい、驚きの映像が目白押しのDVDにも感動しました。

大上: そうですね、当初は食虫植物や種の飛び方などが面白いかな…と思ったんですが、ウミショウブや、バケツランの受粉の様子など、見れば見るほど面白い映像がたくさん集まったと思います。

森定: どうしてこんな進化を遂げたのか分からないような植物も多くて…。本当に衝撃でしたね。

───特にこだわった部分はどこでしょうか?


大上: 先ほども言いましたが、動かない植物をいかに生き生きと見せるかは常に考えました。
例えば、2mの大きさのある「オオオニバス」や世界一大きな木といわれる「ジャイアントセコイア」。これを言葉や文字だけで紹介しても子どもは分からないので、実際に人と一緒に撮った映像を紹介して巨大な様子を表現しました。
結果的に「植物」は、たくましさというか、今まで以上に自然の神秘を感じられる作りになったと思います。

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