───デビュー作「いやだいやだの絵本」シリーズ(1969年)から45年以上も第一線で活躍されていますが、絵本作家になったきっかけを教えてください。
※武井武雄(1894年-1983年)……童画家、童話作家。「童画」という言葉を生み出し、大正から昭和にかけて活躍した。
───その頃から、絵本作家になりたいと思っていたんですか?
───すごい! 1歳の頃から憧れていた作家さんに教えてもらえるようになったんですね。
───武井武雄さんはどんな先生でしたか?
───今のような切り絵の画風になったのも、武井さんのところに通われてからなんですか?
切り絵は兄弟子の中に影絵をやっている方がいらして、その方の作品を見ていたら、「貼り絵がやりたいなら、教えてあげましょうか?」いってくれて、教わりました。
───貼り絵をはじめてやったときは難しくなかったですか?
自分がやりたくてやるんですからね。武井先生に絵を見てもらいながら、先輩方にも絵を見てもらっていろいろ意見をもらったり。習った人はたくさんいますし、色々教えてもらいました。
───そうやって、いろんな方の影響を受けながら、せなさんの作品が確立していったのですね。小さい頃はどんなお子さんでしたか?
子どもの頃はおてんばで、近所の遊び友達がみんな男の子ばかり。戦争中だったから、一緒に戦争ごっこをやって遊んだの。でも、体育は苦手な子でした。絵を描くことは好きで、幼稚園くらいから、鉛筆でちょこちょこと描いたり、おはなしを作ったりしていました。
───小さい頃から、絵を描いたり、おはなしを作ったりしていたなんて、驚きです。
おはなしは頭の中でどんどんできちゃうの。絵も鉛筆で簡単に書くんだったら、どんどん描けますからね。おはなしを作るのは面白いですから、あなたも作ってみません?
───せなさんにいわれると、おはなしが簡単に生まれるように思います。最新刊『およげないさかな』は、今までの作風とガラッと変わった線画のタッチが新鮮でした。
最近、目が悪くなってしまったので、なかなか思うように絵が描けなくなって……。でも、本当はもっといっぱい本を描きたいから、おはなしを作る方に回ろうかと思っているの。絵ばかりは、誰かに継がせるわけにもいかないですからね。
───せなさんの絵が見られなくなるのは残念ですが、おはなしでせなさんの絵本を楽しめることができるのは、読者としてもとても嬉しいです。最後になりますが、せなさんの絵本を読んで育った親御さんたちと、これからせなさんの絵本に出会う子どもたちにメッセージをお願いします。
40周年、本当に長い間、うさこが人気になってくれて、とてもうれしいです。お母さんたちも、お子さんが「めがねうさぎ」に興味を持って「読んで、読んで」といってきたら、懐かしみながら読んでくださいね。
───絵本ナビでも引き続き「めがねうさぎ」シリーズをプッシュしていけたらと思います。ありがとうございました。
●編集後記
インタビュー・文: 木村春子(絵本ナビライター)