●絵本を消耗品のように日常的に使ってほしい。
───今までの新井さんの作品を見てみると、コミュニケーションを意識している絵本が多いということを感じました。
そうですね。『れいぞうこ』や『おしいれ』など「あけて・あけてえほん」シリーズ(偕成社)もぼくの中ではインタラクティブな絵本だと言えます。そもそもぼくは絵本を「親子が笑顔でいるときに、その間にあるもの」と思って作品作りをしています。なので、絵本だけでは完成しないんです。親と子がいて、そのやりとりの間に絵本があることが大切だとずっと思っているんです。
───なるほど。どういう親子の時間を、絵本で作りたいかということを常に考えているんですね。
特に一冊目の『おばけとかくれんぼ』を作っているとき、絵本好きな人や本屋に絵本を買いに来る人以外にも絵本が届けられたら……と思っていたんです。絵本が子育ての中で、哺乳瓶やおむつと同じ必需品で消耗品の様な位置づけになると良いなと。そのためにもやはり、親子でコミュニケーションを取る道具になる絵本を作りたくて、この「インタラクティブえほん」を作りました。
───絵本ナビユーザーさんからのコメントにも「読み終わると子どもがすぐに“もう一回読んで!”と言います」という声が多いですよね。
「もう一回読んで!」と言ってもらえるのが作家としても本望です。
───このシリーズは、現在3冊発売されていますが、それぞれメインとなるおばけのキャラクターが異なりますよね。おばけは5匹いるので、あと2冊シリーズが続くのでは……? と思っているのですが。
そうですね。5冊出来ればいいなという思いは、実は一冊目からありました(笑)。アイディアはいろいろあるので、今、4冊目を具体的に考えはじめているところです。
───まだ考えているところなんですね。
そうなんです。もし何かいいアイディアがあったら、教えてください。
───かくれんぼ、ホットケーキ、たからさがしときて……、何が良いですかねぇ……。
例えば、お風呂やトイレなど、生活にかかせないテーマでもいいし。オモチャとか乗り物とか、子どもたちが大好きなものが登場するのもいいなぁ……。
───すごい! もういろいろなアイディアが広がってきましたね (笑)。4冊目にはどんな遊びが盛り込まれているのか、今からとても楽しみです。今日は本当にありがとうございました。
●町田文学館「この街の現在」に新井洋行さんも参加しています。
今回、インタビューの場所を提供いただいたのは、町田市民文学館。現在、開館10周年記念の第1弾として「この街の現在−ゼロ年代の町田若手作家たち−」を開催しています。この展覧会では町田在住、もしくは学生時代を町田で過ごしたという若手作家たちをご紹介すると共に、彼らの作品を通して明らかとなる“町田の文学”の現在とその魅力について検証しています。 絵本作家さんでは、新井洋行さんと中垣ゆたかさんが登場しています!
会期:2016年4月16日(土)から6月26日(日)
休館日:月曜日、第2木曜日
会場:町田市民文学館ことばらんど2階展示室
観覧時間:午前10時から午後5時
観覧料:無料
協力:偕成社、河出書房新社、佼成出版社、講談社、コルク、小学館、祥伝社、文藝春秋、リトルモア
●よみきかせ&インタビュー動画 公開中!
インタビュー・文: 木村春子
撮影:所靖子