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まほうのさんぽみち

まほうのさんぽみち(評論社)

絵本が大好きな女の子とパパの、幸せであたたかいお話。

絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  コロッケ ころころ ころっころ〜『コロッケです。』 西村敏雄さんインタビュー

子どものころから、絵が好き、音楽が好きな子どもでした。

───普段、インタビューを受けることが少ないという西村さんに、いろいろ伺いたいのですが、子どもの頃はどんなお子さんでしたか?

ごくごく普通の子どもだったと思います。ぼくは愛知県西尾市出身なのですが、同じ高校の2年先輩に絵本作家のいわいとしおさんが、小学校の4年後輩に同じく絵本作家の三浦太郎さんがいらっしゃいました。

───すごい! 絵本作家を輩出している土地なんですね。先ほど子どものころはあまり絵本が身近になかったと伺いましたが、特にハマっていたものはありましたか?

絵は描くのも見るのも、子どものころから好きでしたね。でも、家にはそういう本が全くなかったので、美術の本や図鑑を持っている子のところに遊びに行って、見せてもらったりしていました。それと、小学校高学年頃から、古いオモチャやホーローの看板なんかを集めはじめて、近所の知り合いから譲ってもらったりしていました。

───集めたコレクションはどうしたのですか?

家の離れみたいな部屋をもらって、そこにコレクションを貯めていました。集めたものをしょっちゅう並び替えたりして、部屋の模様替えをするのが好きでしたね。あと、熱中したのは音楽。やはり小学校高学年の頃にビートルズが好きになって、友だちのお姉さんにLPからカセットに録音してもらって、コレクションに囲まれながら小中高校はずっと聞いていました。

───大人っぽい子どもだったんですね。その趣味は、もう続いていないんですか?

今も結構変なものを集めていると思いますよ。例えば、レゴのミニフィギュアとか、戦後の子どもが着ていた、変な柄の浴衣の端切れやブリキのオモチャとか……。アトリエには家族も滅多に入ってこないけれど、ぼくの趣味があちこちに散らばっていますね。

───どんな様子なのか、すごく興味があります。絵本の制作をするときは音楽を聴いていますか?

文章を作るときは、声に出して読むので音楽を流しませんが、絵を描くときはパソコンに入れている曲をランダムで流しています。大体、70年代のロックばかりを聴いていますね。

───ほのぼのとした西村さんの絵とロックの激しいイメージのギャップが面白いです。西村さんの作品には動物が登場することが多いですが、特に好きな動物はなんですか?

特に好きというのはいないのですが、よく絵本に登場する動物には自然と愛着が湧いてきます。例えば、ライオンとか、ブタとか。あと、おじさんを描くのは得意で、妻からも高評価を得ています。


おじさんの顔もバリエーションがいっぱい。

───おじさん……は動物ではないですものね。動物を描く前には動物園などに出かけてスケッチをすることもあるのですか?

『もりのおふろ』を福音館書店に持ち込んだとき、編集の人から「動物をデフォルメする場合も、きちんと本物の骨格を見て、理解してからデフォルメした方が良いですよ。」とアドバイスをいただきました。それまで、じっくりと動物を見て描くことはなかったので、デビュー後しばらくは都内の動物園を回って、スケッチをしました。今でも、動物を描くときはなるべく本物をよく見て、その印象を覚えておきながら自分なりのキャラクターに作るようにしています。

───動物をしっかり見る前と、見た後ではキャラクターの描き方は変わりましたか?

変わりますね。それと、ぼくの作品には『ライオンのすてきないえ』のように、動物の世界を舞台にしたものもあるし、『コロッケです。』のように、動物も人間も出てくるものがある。人間が出てくるときの動物の描き方と、動物だけの世界でのデフォルメの仕方はやはり違います。


おはなしによって、ライオンの見た目も変化します。

───お話を聞いた後に、動物の登場する絵本を見ると、改めて違いを感じることができそうです。動物を擬人化させるときと、人間の世界の話を描くとき、ご自身の中で違いはありますか?

人間の姿で描くと、ちょっとリアルになりすぎる作品のときは、動物で描くことが多いですね。動物の中でもライオンやクマなどキャラクターとして個性の強いものや、子どもたちに人気の動物を登場させるようにしています。でも、ぼくが作絵を手掛ける場合は、ほとんどが動物かおじさんだと思います(笑)。

───そう言われると、そうかもしれません……。これからますます、西村さんの絵本を読むのが楽しみになりました。最後に、絵本ナビユーザーに向けて『コロッケです。』のおすすめポイントをお願いします。

軽〜くね、楽しんでもらえたら嬉しいですね。読んだ後に、親子で一緒にニコッと笑って「面白かったね〜」と笑ってもらえたら、これ以上幸せなことはないですね。あと、黙読するよりも、声に出して読む方が楽しい絵本なので、ぜひみなさんも声に出して読んでみてください。

───「コロッケ ころころ ころっころ〜」って読んだら、気持ちもウキウキしてきますね。

そうなんです。軽〜く、楽し〜く読んでもらって、最後に「コロッケが食べたくなったね」って言ってもらえると嬉しいですね。コロッケを作りながら「コロッケ ころころ〜」って口ずさむのもおすすめです。

お話を聞いているだけで、コロッケが食べたくなってきちゃいました。今日はありがとうございました。

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西村敏雄(にしむらとしお)

  • 愛知県生まれ。東京造形大学デザイン科卒。インテリアとテキスタイルのデザイナーとして活動後、絵本の創作を始める。第1回日本童画大賞優秀賞受賞。絵本に『バルバルさん』『もりのおふろ』『どうぶつサーカスはじまるよ』(福音館書店)、『どろぼうだっそうだいさくせん!』『もじもじさんのことば劇場 オノマトペの巻』(偕成社)、『そこにいますか―日常の短歌』(岩崎書店)、『うんこ!』(文溪堂)、『どうぶつぴったんことば』(くもん出版)他多数。

作品紹介

コロッケです。
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