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絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  工作の原点がここに!『tupera tuperaの工作BOOK つくってみよう! へんてこピープル』tupera tuperaさんインタビュー

今年でユニット結成15周年。今は展覧会に夢中です!

───2002年にユニットとしての活動をスタートさせて、2017年で15周年。今回、工作の原点ともいえる『つくってみよう! へんてこピープル』のお話を伺わせていただきましたが、当時のご自身を思い返してみると、どんな思い出がありますか?

亀山:そうですね。この『つくってみよう! へんてこピープル』はぼくらの5、6作目の作品なのですが、すごく楽しかった半面、大変な思いをして作った記憶があります。

中川:今でこそ、2人で作品を作るときに意見が食い違うことは少ないですが、当時は、熱い思いを交わしてバトルになったことも何度もありましたし、夜遅くまで試作を作っていたこともたくさんありました。

亀山:そもそも、最初のころは、絵本を作ることになるなんて、思っていませんでしたから。

───今、最も勢いのある絵本作家のひとりであるtupera tuperaさんが、もともと絵本を作ると思っていなかったなんて意外です。

亀山:どうして、絵本を作るようになったかというと、やっぱり面白い人との出会いとつながりがあったからだと思うんです。ぼくらがはじめて出版した『魚がすいすい』(当時ピエブックス、現在はブロンズ新社より刊行)は、自費出版で出した『木がずらり』を見て、興味を持ってくれた編集者さんに声をかけていただき、できました。初の物語絵本『しましまじま』(ブロンズ新社)は、ブロンズ新社の若月編集長と作った作品。若月さんとは、パリに行ったときに、五味太郎さんの紹介で出会いました。

───すごい出会いですね。

亀山:『しましまじま』は、はじめて物語を考えてから作った絵本だったのですが、かなり肩に力が入ってしまい、なかなか作品がまとまらず、打ち合わせでアイディアを出してはボツを食らう……。毎回、打ち合わせが終わると凹んで家に帰っていましたね。

中川
:当時は、絵本を作るのは私たちに向いていないと思うくらい落ち込むことも多かったですね。でも、その当時、編集者さんといろいろやり取りをしながら作り続けていたことがあったからこそ、今、とても楽しく絵本を作ることができているんだと思います。

───15年経ってたどり着いた場所は、当時、こうなりたいと思った場所と同じですか? それとも、違いますか?

亀山:そもそもぼくたちは、目標や予想もなく過ごしていることが多いので、意外という感じもないんですよね。本当に、成り行きでここまで来ましたという……。

───そうなんですか? 

亀山:「ここに行きたいな」とか。「来年、あれをしたいな」とか、そういう先を考えて動かないタイプなんです、ぼくたち。今目の前にあること、そして、まだ見たこともない依頼、そういうのを楽しみたいんです。

中川:ただ、どんなテーマやお題が来ても、「面白そう!」「やってみたい!」とすぐに盛り上がることができるのが私たちの強みだと思っています。依頼していただく方たちも、私たちのそういう面を見てくださり、「tupera tuperaに声をかけたら、面白そうなことをやってくれるだろう」って思ってくれているんだと思います。

亀山:「こういうことを、考えているんですが、一緒に遊びませんか?」という感じで、依頼があると、すごく嬉しいんですよ(笑)。

───そのスタンスは、今後もきっと変わらない、おふたりの魅力なんですね。ちなみに、直近で、「面白そう!」「やってみたい!」と進んでいることはありますか?

中川:そうですね。今年は、夏に福岡でちょっと変わった「イルヨイルイル モノモノノケ展」の開催を予定しています。これは、私たちと写真家の阿部高之さんがタッグを組み、日常の中にあるふしぎな「モノモノノケ」たちを紹介する展示です。

亀山:それと、9月には横須賀美術館で、絵本全タイトルの原画を展示する「ぼくとわたしとみんなの!tupera tupera 絵本の世界展」を開催します。横須賀美術館開館10周年を記念した、とても大きな展覧会になる予定です。

中川:展覧会に合わせて、図録やグッズも制作することになっています。ぜひ、多くの方に足を運んでいただきたい展覧会ですね。

───全国のtupera tuperaファンが、福岡と横須賀に大集結しそうですね。それでは、最後に絵本ナビユーザーへメッセージをお願いいたします。

亀山:この『つくってみよう! へんてこピープル』は、ぼくらの初期の作品であり、全作品の中でも売れていない作品でもあります……(笑)。

───え! そんなこと言ってしまってよいのですか……。

中川:でも、この作品は、私たちを工作の道に進ませる分岐点となった作品で、とても強い存在感を放っている作品なんです。

亀山:まさにぼくらの工作の原点。『つくってみよう! へんてこピープル』がなければ、ワークショップなどのイベントの依頼も来なかったと思いますし、「ノージーのひらめき工房」の仕事もなかった。この作品から、活動の幅が広がった、ターニングポイントと言っていい作品です。なので、この本を手にした子には、お気に入りの「へんてこピープル」を見つけて、「つくりかた」を見て作って、楽しんでもらいたいと思います。

中川:それと、「へんてこピープル」を紹介する文章や、「つくりかた」の説明も、いろいろ考えて書いています。へんてこなこともたくさん書いてあるので、読んで笑ってもらえると嬉しいです。

亀山:もちろん、子どもだけでなく、お父さんやお母さん、おじいちゃん、おばあちゃんもみんなで「へんてこピープル」を作ってもらいたいですね。特に大人の方に率先してやってもらいたいです!

───ありがとうございました。

「すぐにつくれる! ころころおばさん」制作動画&メッセージ

イベント情報

●絵本作家tupera tupera×写真家 阿部高之
「イルヨイルイル モノモノノケ展」

場所:ART GALLERY ARTIUM
福岡県福岡市中央区天神1-7-11 イムズ8F
日時:2017年7月8日(土) − 8月27日(日)10:00 - 20:00
※会期中休館日なし 入場料:一般:400円 学生:300円
URL:http://artium.jp/exhibition/2017/17-03-monomononoke/

●ぼくとわたしとみんなの tuperatupera 絵本の世界展
場所:横須賀美術館
日時:2017年9月9日(土)〜11月5日(日)
10時〜18時 休館日:10月2日(月)
観覧料:一般900円、高大・65歳以上700円、中学生以下無料
※11月3日(祝・金)は無料
URL:http://www.yokosuka-moa.jp

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tupera tuperaさんのアトリエを見せていただきました。


鴨川を臨める窓辺で制作を行います。


壁には今後の予定がビッシリ!


本棚には、過去の著作が並んでいます。

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取材・文/木村春子
撮影/所靖子

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tupera tupera(ツペラツペラ)

  • 亀山達矢と中川敦子によるユニット。絵本やイラストをはじめ、工作、ワークショップ、舞台美術、空間デザイン、アニメーション、雑貨など、様々な分野で幅広く活動している。絵本に『かおノート』(コクヨS&T)『やさいさん』(学研教育出版)『うんこしりとり』(白泉社)『いろいろバス』(大日本図書)など著書多数。海外でも様々な国で翻訳出版されている。NHK Eテレの工作番組「ノージーのひらめき工房」のアートディレクションも担当。絵本『しろくまのパンツ』(ブロンズ新社)で第18回日本絵本賞読者賞、Prix Du Livre Jeunesse Marseille 2014 (マルセイユ 子どもの本大賞 2014 )グランプリ、『パンダ銭湯』(絵本館)で第3回街の本屋が選んだ絵本大賞グランプリを受賞。京都造形芸術大学 こども芸術学科 客員教授。
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