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世界の国からいただきます!

世界の国からいただきます!(徳間書店)

世界26か国の食べものを紹介した、楽しい大判絵本!

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まほうのさんぽみち

まほうのさんぽみち(評論社)

絵本が大好きな女の子とパパの、幸せであたたかいお話。

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白熱!昆虫談義

───ハムシとゾウムシ…。かなりマニアックな昆虫ですよね。

そうですね…(笑)。でも、ぼくの収集方法は業界的にかなり「ゆるい」んですよ。ハムシとゾウムシは、昆虫界では「雑虫」と呼ばれていて、チョウやカブトムシなんかと比べると人気のない種類なので。でも、ぼくはその雑虫が好きなんですよ。より小さい虫を見つけると「オー!」とテンションがあがります。

───特に面白い虫を教えてもらえますか?

イタドリハムシはまだら模様がとてもきれいな虫です。イタドリの葉に生息しているんですよ。

エゴヒゲナガゾウムシは顔が平べったくて、目が上のほうについているんですよ。こいつはエコノキの実によくいます。

それと、エゴシギゾウムシ。これはエゴノキにいるゾウムシなんですが、口が面白いところについている。シギという鳥みたいだからこの名前が付いたそうです。

もし、もっとハムシやゾウムシを知りたいのであれば、すごくオススメの図鑑があるので、それを見てください!


『葉虫―小檜山賢二写真集 Leaf Beetles:Micro Presence』(小檜山 賢二、2011年7月、出版芸術社)、『象虫:マイクロプレゼンス―小檜山賢二写真集』(小檜山 賢二、2009年8月、出版芸術社)。「マイクロプレゼンス」という撮影方法により、今まで見ることのできなかった細部まで、鮮明に写された画期的な写真集。

───ハムシやゾウムシはどんなところにいるんですか?

こんなけったいな形をしているから、特殊な場所にいると思うかもしれませんが、道端の石の下や公園の葉っぱの裏など、ぼくたちのすぐ身近に沢山いるんですよ。幼稚園や小学校低学年くらいだと、昆虫に興味のあるほとんどがカブトムシやクワガタムシなど、メジャーどころなんですが、そいつらよりも雑虫はすごく身近にいるし、見つけやすいと思いますよ。メジャーどころと違い、ゾウムシやハムシの生態はほとんど分かっていないんです。「これは新種かも!」と思って探すワクワク感、相当面白いですよ。

───昆虫採集に適した季節はありますか?

やはり春先から夏にかけては昆虫が動き出す季節ですね。ぼくが採集しているハムシやゾウムシは5月から6月にかけてがピーク。春になって、毎年行く場所に虫がいると、「お、今年もここで出会えた」、意外な場所にいると「こんなところにもいたんだ!」と嬉しくなります。

まだまだ白熱!昆虫談義

───採った昆虫は標本などにしているんですか?

20代の頃、まだ時間もあって「ハムシとゾウムシのコレクターになるんだ!」と熱意に燃えていたときは、分類したり、大きさごとに標本を作ることも考えていたんですが、次第に絵本の仕事が忙しくなってきて…。標本も場所を取るので、ボクは「タトウ」という方法で保管しています。

───どんな保管方法なんですか?

これです!
新聞紙の中に綿を敷いて、その上に昆虫を保存しています。


あと、人によっては、スキャナーでスキャンして画像だけ残しておいたり、カメラに収めてコレクター同士で情報交換なんかもしています。今でこそ、デジカメの性能が上がって、コンパクトタイプでもマクロ撮影が簡単になりましたが、90年代当時、小さい虫を撮るのにはカメラも工夫しなければならなかったんですよ。

ぼくが改造した専用カメラがこれです。

───すごい!これはどういった構造になっているんですか?

まず、テレコンバーター2.4xのカメラに105mmのマイクロレンズをつけて、Niconの一番でっかいストロボを買ってきて、発光部分を分解させて、図のような形に改造するんです。そのフラッシュ部分をレンズフードの上に乗るよう台をつけて、完成です。
これを持って森に行くんですが、落とすなど強い衝撃を受けると、ストロボ部分がショートして壊れてしまうんです。2回壊したことと、機材が重くて出かけるのがイヤになってしまったので、外で撮影するのはあきらめました。でも、今は性能のいいコンパクトデジカメが沢山出ているので、気軽に何枚でも撮っています。

───収集だけではなく、撮影にも苦労があるんですね。ここまで、はたさんを夢中にさせる昆虫の魅力って何だと思いますか?


ノブドウの葉の下を見ると…アカガネサルハムシ!

ぼくは兄についていった虫との思い出や、関東でのアオオサムシとの再会の衝撃から昆虫にはまっていきましたが、相手に対する好奇心、知りたいという思いが魅力だと思うんですよね。今日お会いしたメンバーでも、知らないうちはただの人間にしか見えないけれど、いったん会うと親しみや興味が湧いてくる。昆虫も同じで、名前を覚えるだけでもすごく仲良くなれるような気がするんです。
特に昆虫は植物と密接に繋がっていて、エゴヒゲナガゾウムシをつかまえるにはエゴノキを知らなきゃいけない。イタドリハムシを見つけるためには、イタドリを見つけられなきゃいけない。じゃあどうするかというと、植物図鑑で調べるんですよね。昆虫から入っていった興味がだんだん、植物に移っていって、エノキを見るとオオムラサキがいるかなと思ったり、ノブドウが出る季節にアカガネサルハムシはそろそろかな…と気になるようになる。入り口はどんなものでも良いんですが、「自然」を感じてもらいたいと思います。

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はた こうしろう

  • 兵庫県に生まれる。絵本作家、イラストレーター。
    絵本に『ゆらゆらばしのうえで』『ことりのゆうびんやさん』(以上福音館書店)、『ガタゴトシュットンなんのおと?』(学習研究社)、『なつのいちにち』(偕成社)、『雪のかえりみち』(岩崎書店)、『はるにあえたよ』「クーとマーのおぼえるえほん」シリーズ(ポプラ社)、「ショコラちゃん」シリーズ(講談社)、『こいぬ、いたらいいなあ』(フレーベル館)、『はじめてずかん どうぶつ(1)(2)』(コクヨS&T)、童話の絵に『しゃくしゃく けむしくん』などの作品がある。
    東京都在住。

作品紹介

むしとりにいこうよ!
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作:はた こうしろう
出版社:ほるぷ出版
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