●この作品を描き終えて発見したこと・・・
「普段絵を描くときには、音楽を聴きながらの事が多いのですが、このシリーズの制作の時は、静寂の中で描いていました。」と振り返るたしろさん。
─── この作品を描き終えて、何か発見した事などはあったのでしょうか?
「絵本をつくっていく過程で、今までより更に感覚を磨かなくてはいけなかったので、前は気が付かなかった事まで気が付くほど、自分が敏感になっていたと思います。
音というのは、こちらから聞きにいかないと聞こえない・・・という事も改めて感じました。」
作品を創りだしていく事で感じる世界が広がっていくなんて、とても素晴らしいことですよね。
さて、次回作として「The Book of Sense」シリーズ5作目が決まっているそうです。
次のテーマは「視覚色覚」。つまり目で感じることなのだそうですが、こちらもまた大きなテーマです。
今はアイデアを沢山出されてとても楽しい段階なのだそうが・・・。
出来上がりはまだ先になりそう?どんな「色」を見せてくれるのか、私達は楽しみに待っていましょう!
●生きているものを生きているように描きたい・・・
─── 一つ一つの作品、それぞれに登場する動物達がとても生き生きと動き回るたしろさんの作品。
これからどんな作品を描いていきたいと思っているのでしょう?お伺いしてみました。
「生きているものを、生きているように描きたい。匂いがあるものは、匂いがあるように描きたい。
そんな風に、上手に描きたいという訳ではなく、描く対象「そのもの」が「そのもの」らしく描けられるようになれれば・・・と思っています。」
そんなコメントを裏付ける様に、実際のものをスケッチされることにもとても熱心だそうで、例えば「ぼくうまれるよ」では、動物園に頻繁に通われてかなり取材をされたそうですし、「おんがくかいのよる」では、登場するねずみの小さな楽器を全て実際に作られてから描かれたのだそうです。
ねずみの視点に立った風景がとても面白いのです。絵本の内容詳細はこちら>>>
表現を奥深いものにしているのが、この様な熱心なスケッチの数々であることは勿論ですが、何よりも、作品を描かれる時に登場人物「そのもの」になりきってしまえる御本人のその鋭い「動物的な感覚」が一番の特徴なのでは・・・と、
とても感覚的な言葉で話されるたしろさんを拝見し、勝手ながら思ってしまいました。
最後にとっても心に残ったたしろさんの言葉をご紹介します!
好きな動物は?と聞いてみたところ・・・
「カバが好き。理由はカバだから。カバの全てが好きなんです。」
理屈ではなく、存在そのものが好きなのだそうです。
素敵な言葉です。
記念にパチリ。
たしろちさとさん、ありがとうございました。
絵本ナビユーザーの方に向けて、たしろさんがこんな素敵なメッセージを描いてくださいました!!