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《スペシャルコンテンツ》インタビュー

2011.01.07

さこももみさん
絵本「ペコルちゃん」シリーズ

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作品へのこだわり

─── 今のところ、さこさんの作品というと小さい子に向けたものが多いという印象がありますね。その辺りにこだわりはありますか?

編集の方が低年齢のお子さんをお持ちの方が多くて。「こんな本が欲しい」というものが、皆さんわりとはっきりあったんです。だから、リクエストから始まるものが多いですね。また、この年代は一番読み聞かせをするという機会が多いですよね。だから、私の作品を最初に目にするのが小さい子向けの本だったという事で、この年齢向けのものが描ける人なんだと思われたというのもあるのでしょうね。

まんままんま

作・絵:さこももみ
出版社:講談社

ねんねねんね

作・絵:さこももみ
出版社:講談社

「好き嫌い」「おやすみ」のリクエストから生まれた絵本

それから例えばこんな絵本。

ゆっくのどこどこかくれんぼゆっくのどこどこかくれんぼ

作:たかてら かよ
絵:さこももみ
出版社:ひかりのくに

すっくのどこどこかくれんぼすっくのどこどこかくれんぼ

作:たかてら かよ
絵:さこももみ
出版社:ひかりのくに

さりげなく読み始めると、探しきれるまでやめられなくなるやみつき感があるんです!

どこどこかくれんぼ この絵本を描いたら、今度は「細かいものが描ける人なんだ」となって。「おお、こわい」と思いましたね(笑)。
 この本は、「下の子に買ったのに小学校高学年の上の子が取り上げて30分も見てた」とか聞きます。あと、うちの父がもう80過ぎなのに「これはいいぞ」とか言って。「俺はばんそうこうが最後までわからなかった。どこだ?」って聞かれたりとか(笑)。結構幅広く楽しんでいただけてます。

─── この絵本の中でもそうですけど、さこさんの絵本に出てくる子ども達のお洋服一つ一つがすごく可愛くて、お洒落でもあって。今どきのお母さんもその辺りに反応されている方も多いかと思いますね。

後から読んでも、その絵本を読んでいた時の時代というのを思い返せるようなものがいいなと思っているんです。だから、今を意識した服装にしているというのはありますね。「今度はどんな服を着せようかな」って自分でも楽しんでいます。小さい子たちが何人かいっぱい出てくると、一人一人どの子にもちゃんと平等に着せたいって思っちゃうんですよね。髪型も今度はどうしようかなとか。結構それぞれ考えて描いています。

─── その他にも、食べ物とかお料理、お部屋の中が描かれている絵本もありますね。例えばインテリアだとかお料理だとか、さこさんご自身がお好きな分野というのはあるのでしょうか?

お料理はそんなに得意分野じゃないんですけど、子どもはやっぱり美味しそうな絵をつまんで食べようとしますよね。「まだお話の内容はわからないけど、食べ物のページになると食べる真似をするんです」という話も聞くので、なるべく美味しそうに描きたいなというのはあります。

どこどこかくれんぼ

それから食べ物って大事だなと思ったのが、うちの子が幼稚園の時にお弁当をずっと持って行っていたんですけど、下の子が全然泣かないんですよ。他の子はみんな「お母さーん、お母さーん」って泣いてるのに泣かないので、「お母さんいなくても寂しくないの」って聞いたんです。そうしたら「お弁当があるとね、お母さんがいるみたいで寂しくないの」って言ったんです。どへーっと思って(笑)。その話をしたら幼稚園の先生が泣いちゃって。新しく幼稚園に入ってくるお母さん達が「お弁当を作るのは大変だな」って思われるから、入園説明の時にこの話を毎年しています、と今でも言ってました。今はもうその娘が「私は名言をはくからね」なんて言うんですけどね(笑)。
だから、できれば食事は一緒にしたらいいなというのはあります。他はたいしてね、親から伝えることがないので。食べ物は大事です。生きていかなきゃいけないですからね。

ふわふわホットケーキふわふわホットケーキ

作・絵:さこももみ
出版社:小学館

こんな美味しそうな絵本も!

─── さこさんが絵本を制作される時、ご自身の小さい頃の経験や、子育ての経験、あるいは教師をされていた頃の経験が生きている、という事はありますか?

教師というのは短い経験でしたので・・・。でも、やはり印象的な子はいますよね。面白い事をする子や言う子、名言をはいたりする子だとか。私の場合は子どもを育てた後だったから、色々見てきたものから絵本が出来た、というのはあるかもしれません。幼稚園の時には、他の子もいっぱい連れて家で遊んでいるのを見ていて、ああ、こんな子もいるんだなというのもありましたし。そういうのって大人だけで暮らしていると、なかなか。もちろんお子さんがいらっしゃらなくても、自分の子ども時代を豊かに過ごされた方は、そのまま本にできるのだと思いますね。

─── 絵を拝見していた時、子どもをじーっと観察する人じゃないと描けない絵なんだろうな・・・と想像していたんです。お話を伺っていると、先生をされていた時も、子育てをされていた時も、絵本を描かれる前からずっと「ああ、この子おもしろいな」という観察がやっぱりお好きだったんだと感じました。そんなストックがたくさんあるといいますか。

そうかもしれないですね。子どもってお尻とか頭の後ろがこう出っぱっている感じとか、なんてかわいい形してるんだろうとか。今でもやっぱり観察しちゃいますね。今はもう身近に小さな子がいないので、ひとりで地面を見ていたりとか、そういう子を見かけると、怪しいおばさんに見られない程度にじーっと外からにやにやしながら見たりして(笑)。声をかけるとやめちゃうから。飽きないですよね、子どもを見てるとね。動物を見てるのと一緒で。

描いているときは本当に楽しい。

─── それでは、絵本を制作されている時に面白いと感じるのはどんな瞬間ですか?

絵を描いてる時は、ずっとにやにやしてますよ。「締切が・・・」とか「いつ描けますか」とか「修正ここも、ここも」と言われると、もうがくっとなるんですけど。いざ、描き出すとにやにやしながら描いてる感じはありますね。だから本当にこれだけやってていいよって言われたら、それが一番いいんですけど。まあ家事もありますからね。そうもいかないんですけどね。

─── 絵本作家になられてよかったな、と思われる時はありますか?

さこももみさん直接感想が聞こえるというのは大きいですね。イラストカットの仕事の時は、描いて納品して出来上がったら、もう終わりっていう感じがあったんですけど、絵本の場合は「この絵本を読んでみてどうだった」とか、「うちの子とそっくりです」とか、「うちの子がこの本でこう言いました」という反応が、今はインターネットのおかげで絵本ナビさんでもそうですけど、感想が見れますよね。そうすると、ああ、描いてよかったなと思います。

─── 絵本ナビのレビューのほうも楽しみに読んでくださっているんですね!

そうですね。「ああ、こういうふうに読んだ方がいるんだ」と、逆に思いもよらなかったこともあったりするので。あとは、「やっぱり子どもはここを見つけてくれたんだな」とかね。テントウ虫がいっぱいるとかいうのを喜んでくれるお子さんがいたり、あそこにあれがあったとかいうのを見つけてくださると、「絵を読んでくださってるんだな」と実感できて嬉しいですね。(他の作家の)皆さんも読んでいるんじゃないでしょうか。

─── 絵本の読者の方に直接会われるという機会もあるんですか?

地元の方で読み聞かせをしてくださいという事が、時々あるんですけど。子どもがわーっと寄ってきて、それまでお母さんに「静かにしなさい」と言われてた子が、しーんとしてこちらを見てくれるのが、すごく可愛くて。「イーノとダイジョブ」を読んだ時には、前にいた女の子が「次は何かな」って見ると、りんごだと思ったら帽子だったりっていうね。「次は何々かな」って言うと、「違う、きっと違う」って言ってたりとか。入り込んでくれているのが嬉しいですよね。ああ、子どもはやっぱりどの子も絵本が好きなんだなあっていうのがあって。

絵本を読んでもらうというのは、ある程度の年齢になっても好きですよね。専門学校にちょっとイラストの授業をしに行っているんですけど、二十歳ぐらいの子もすごく喜ぶんです。読むと、また先生なんか持って来て読んで、なんて言って。幼稚園の時や、お母さんが読んでくれたとか、その絵本がうちにある、ということで思い出すみたいですね。「えー、こんな大きな子が」と思うけど、あたたかいものを思い出すのかな、という気がしますね。

お母さん自身も、今の世代のお母さんはきっと小さい頃読んでもらって育っているでしょうから、自分の小さい頃のこともやっぱり思いだすのでしょうね。

絵本ナビ読者へのメッセージ

─── 最後に絵本ナビ読者の方に向けて、絵本との触れ合い方や楽しみ方などのメッセージをお願いできますか?

子どもと向かい合っちゃうと、どうしても親って上から目線になっちゃうんですけど、絵本を読む時って、ひざの上だったり、お布団の中だったり、一緒の方向を見ていますよね。顔は見えないけれども、同じものを二人で見るという。あれがすごく絵本の素敵なところだなと思うんですよ。向かいあっちゃうと、どうしても何か言わなきゃ、という雰囲気になるじゃないですか。親らしくしなきゃと思っちゃう。でもこの姿勢だと同じものを二人で楽しむっていう、そういう感じがいいんです。

読み聞かせの方達に読んでもらうのは、自分では選ばない本に出会うきっかけにもなるし、いいと思うんです。でも、身近な親御さんが読んであげるなら、自分だけに読んでくれている感じがどっぷり味わえたほうがいいと思いますね。同じ方向を見るって、素敵だなと思うんです。「絵本読んであげるよ」っていうと、もう決まりきったようにひざの上に来るっていう風なね。ああいうかわいい時代はそんなに長くは続かないので(笑)。例えば長男がいて、下に赤ちゃんが生まれると、ひざを取られちゃうし。それをしたくてもなかなか2人いっぺんにはひざに乗れないでしょうしね。だから片一方が寝てる時は片一方にそうしてあげれば、一番いいのかもしれないんですけど。本当にそれができる時間というのは、大事な時間だと思いますね。

─── ありがとうございました!

さこももみさんの素敵な直筆メッセージをご紹介します!
さこももみさん直筆メッセージ


最後に記念にぱちり。

記念撮影 「読み聞かせの最中には、是非お子さんのこちょこちょスイッチも入れてみてくださいね!」
(さこももみさんより)

絵本作家さんだと忘れてしまいそうになるほど、気さくな雰囲気のさこももみさん。
ユーモアたっぷりに、ご家庭のお話から制作のことまで語ってくださいました。
思わず「今度はこんな絵本を描いて!」と頼みたくなってしまう編集者の気持ちもわかるよう!?
子どもの目線を忘れない大人の方というのは本当に素敵だな、と改めて思いました!

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さこももみ【佐古百美】

  • 1961年東京都生まれ。東京学芸大学美術教育学科卒業。小学校教員を経て、イラストレーター、絵本作家になる。絵本、雑誌、書籍、企業のWEB等で幅広く活躍している。主な作品に「こんなときってなんていう?」シリーズ(ひかりのくに)、「イーノとダイジョブ」シリーズ、『まんま』『ねんね』(講談社)、『へんしん!ぱんやさん』(教育画劇)、『トトとライヨ じてんしゃのれた!』(アリス館)、『ぼくはひなのおにいちゃん』(文化出版局)、「ペコルちゃん」シリーズ(くもん出版)など多数。日本児童出版美術家連盟会員。広島県在住。


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