「歯痛の思い出」「幻の虹」「ムッシュ・ボンバルのばかげた秘密」の3編を収録。
「おっとりしてて、なのに読みごたえあって、かつ楽しいもの」を収録した短編ミステリー集。
・「歯痛の思い出」 ※亜愛一郎シリーズ 著:泡坂妻夫 1997
・「幻の虹」 著:青井夏海 1994:自費出版→2001:創元社より出版
・「ムッシュ・ボンバルのばかげた秘密」 著:ポール・ギャリコ 1950
どれも奇妙な味の、ユーモアや風刺が効いている作品ばかり。
独特の世界観で、人を食ったかのように話が展開する「歯痛の思い出」。まるで新作落語のよう。しつこく繰り返されるギャグと、妙な話のもっていきかたが心に残る。
「虹の橋」は素人が自費出版した後、評判になって本当に出版されたという奇特な作品。全くの野球音痴に、野球のルールを実際の試合を見ながら説明しながら、裏で事件が起きるという妙な展開。いろんな人間の個性を、強烈に鮮やかに描いていて印象に残る。
トリを務めるは、大御所作家。ミシュランの覆面審査員を相手に、料理屋がてんやわんやになる話。華やかな文章が、濃厚なフランス料理を堪能した気持ちにさせる。
どれも曲者ぞろい。
どれもが、個性が強烈過ぎて、印象に残る。
短編集を読むと、読了後に「読んだはずなのに、思い出せない話」があるものだが、これは3つとも全部が強烈に記憶に残る。
変わった話を読みたい人におススメ。 (渡”邉恵’里’さん 40代・その他の方 )
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