人気作家リンドグレーンには、たったひとり、手紙を交わし続けた少女がいました。少女の名前はサラ。最初にリンドグレーンに手紙を出したのは12歳のとき(1972年)でした。当時文通はすべて断っていたリンドグレーンですが、感情の起伏そのままをぶつけたサラの手紙に、ほっておけないものや、何か才能を感じたのか、返事を書きます。それからなんと、ふたりのやりとりは80通以上にわたり、長い間、友情は続きました。
サラの手紙は率直で荒削りでときに乱暴ですが、悩み多き思春期の心の揺らぎが卓越した表現力で語られます。
一方、リンドグレーンは、そんなサラを愛しく思いながら、彼女の繊細で荒んだ心を包むようにはげまし、ともに悩み、ユーモアを持って対等に接します。そこには、リンドグレーン自身の生き様や心情、作品への想いも映し出されていきます。
ふたりの女性が信頼を寄せ合いながら、本音で交わした書簡をそのまま収録しました。時を経て生まれた、奇跡のような1冊です。ぜひご覧ください。
続きを読む