小学生の皆さん、今なにか夢中になっているものがありますか?皆さんの学校にクラブはありますか?
このお話の主人公、大井出みわが通う風神小では、4年生になると全員クラブ活動に参加するというきまりがあります。けれども、何部に入るかなかなか決めることができずにいる、みわ。大好きなことは空想をすることだけれど、空想クラブなんてものはないし、他にはとくに何の取り柄も思いつきません。いろいろ悩んだ末、唯一おばあちゃんが包丁の使い方をほめてくれたことを思い出し、調理部に入ることに決めました。
しかし、いざ調理部に見学へ行ってみると、所属メンバーはたったの3人!部として認められず、まだ調理同好会と呼ばれている上に、今年こそなにか実績をつまないと解散させられてしまうというのです。しかもメンバーの個性はバラバラで、うまくやっていけるのか不安でいっぱい。そんな中、6年生のニイナ先輩が作った精巧で芸術的な妖精のマジパン人形を目にしたことをきっかけに、一気に空想を膨らませたみわは、勢いにのって学校の七十周年の記念祭にスイーツで「妖精の国」を作ります!と先生に提案してしまいます。はたして調理部の行く末はいかに?!
何かに夢中になること、目標に向かって努力すること、仲間と協力して作り上げる楽しさ、そんなわくわくした気持ちがたっぷり詰まっていて、読むと元気をもらえます。何がやりたいか分からなかったり、途中で壁にぶつかったり、とあれこれ悩みながら前に進んでいくみわの姿に共感する子もたくさんいるのでは?読んだ後は、何かに挑戦する勇気ももらえそうです。かわいいもの、お菓子作り、空想すること?!が好きな小学3〜6年生ぐらいの女の子にとくにおすすめしたいお話。さし絵もかわいらしく、明るく元気いっぱいの赤い表紙は、見つけたらすぐに手に取りたくなってしまいますね。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
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