うわ、なんてカッコいい表紙。
不思議な幾何学模様に見えて、これは確かに「しんかんせん」。
「ほんとに ひとりでだいじょうぶ?」
「だいじょうだよ! ママ」
ぼくは、これからおじいちゃんとおばあちゃんに会いに、ひとりで新幹線に乗るのです。まわりは知らない大人ばかり。座っていても、ドキドキなんだか落ち着かない。お弁当を食べ、ジグザグ揺れる通路を通ってトイレに行き、富士山の横を通り過ぎたら、なんだか眠くなってきて……。
子どもの時に体験するはじめての一人旅。その緊張は今でも鮮明に思い出すものです。知っているはずの風景に、平気なはずの一人席、なんでもない出来事に右往左往。だけど、慣れてくるとその全てが喜びの風景に変わっていき。穂村弘さんの描き出すのは、そんなささやかな冒険のお話です。
ところが、その絵の表現はちょっと普通じゃありません。主人公の男の子も、新幹線も、まわりの大人も、富士山まで、丸や三角などの単純化された形の組み合わせで大胆に描かれ、使われる色だって明快でポップ。こんなおかしな世界、見たことない!……はずなのに。「ぼく」の心情が、とっても伝わってくるのです。これは、紛れもなく新幹線の中の出来事であり、記憶の中の新幹線ともぴったりくるのです。不思議です。
大人の私も興奮させてくれる、新感覚のりもの絵本。嬉しい登場ですね!
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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「ちゃんと キップ もってる?」「うん」
「ほんとに ひとりで だいじょうぶ?」「だいじょうぶだよ!」
おじいちゃんとおばあちゃんに会いに、ぼくはひとりで新幹線に乗ります。
まわりの大人たちは、なんだかいつもと違って見えて、ドキドキ。
お弁当を食べて、トイレに行って、富士山を見たら、うとうと眠くなってきて……
人気歌人・穂村弘が綴る、はじめての体験にドキドキする男の子の、ささやかな冒険を、
新鋭イラストレーター・長谷川朗が、大胆なデフォルメと、ポップな色使いで描き出します。
新幹線での「あるある」な体験を、見たことがない新鮮なビジュアルで表現する、新感覚の乗り物えほん。
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