しりとりが大好きな王様がおさめる、シリトーリ王国。その国には、やぶれば王様の怒りを買う、きびしいルールがありました。それは、最後が「ん」のもの立ち入り禁止!
ところがそこにやってきた、ほうぼう旅するコックのライオン。国の決まりを知らなかったライオンは、最後の文字が「ん」なのに王国へ立ち入り、牢屋につかまってしまいます。
「んが つくからって なんだよぅ……」
しりとりのときは嫌われてるけど、最後が「ん」だっていいじゃない! こっそり牢屋を脱出したライオンが、腕によりをかけてつくった料理。それは、グラタン、チャーハン、ナポリタン! しりとりには、もちろん負けちゃうグルメたち! こんなもの見つかったら、こんどこそどんな目にあわされるか……!
著者、やまぐちりりこさんは、しりとりのとき最後に「ん」がつくものたちがしょんぼりしているように感じて、このお話を思いついたそう。それをきいて、なっとく! 著者のやさしさと愛情がつまった、とてもかわいらしく、ほほえましいお話になっています。
ライオンが腕をふるう、「しりとり負けちゃうグルメ」はまだまだたくさん!
クリームパンに、メロンパン! パンは、のきなみ仲間だし──
肉まんにピザまん、中華まん系もみんな友だち!
ほかには、なにがあるでしょう? ライオンシェフといっしょに、「ん」のつくメニューを考えよう!
しりとりあそびが隠れてる、たのしいおまけつき。ふだん目を向けないものに注目し、きらわれているものに光を当てる、そんな視点がすてきな、おすすめの一冊です。
(堀井拓馬 小説家)
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