生き物の本は好きだけど、虫の写真はなんだか怖い。
虫のことには興味あるけど、リアルな図鑑はちょっと苦手。
だけど、この絵本なら大丈夫! しっかりリアルで、くわしく解説。だけどなぜだかこわくない。
『か』たあしをあげて オシッコする カブトムシ。
『だ』っぴは うえとした はんぶんずつ ダンゴムシ。
「あいうえお」順にそれぞれの文字が名前につく虫を、同じ文字ではじまるひとことを添えて、カルタのように紹介していく図鑑絵本です。収録された虫は、だれもが知ってる身近な虫を中心に、五十音プラスおまけの52種類!
本書のいちばんのみどころは、虫が苦手な人でもたのしめるように、たくさんの工夫がほどこされているところです。
明るい色彩とやわらかな質感で描かれていること。とぼけた効果音や、怒りマークなどのマンガ的記号で装飾されていること。見開きごとに、かならずあざやかな花々のイラストといっしょに描かれていること。そうした数々の工夫によって、本書に登場する虫たちは、キャラクターのようにデフォルメされているわけではなく、写実的でリアルなのに、こわくありません。
興味をそそるおどろきの虫情報もたっぷり! オニヤンマは70キロで空を飛び、ナナフシはメスだけで卵を産める。そしてゲンジボタルは、卵も幼虫も光るって!?
また、オオムラサキの項では、
『にほんのこくちょう。
ようちゅうのかおがかわいい。』
テントウムシでは、
『ようちゅうは かいじゅうみたいに ぼこぼこ している』
など、ほかの図鑑とは少しちがう、ユニークな視点から語られる解説も魅力的です。
虫好きでも、虫嫌いでも、おすすめ! あたらしい虫の魅力に気づける、こわくない虫図鑑です。
(堀井拓馬 小説家)
続きを読む