アルバイト先で暴力事件を起こし、家庭裁判所に送致されたのち試験観察処分となった、鳴海円人。 幼い頃母が家を出て行って、祖母と二人暮らしだった円人は、祖母と折り合いが悪く、できるだけ早く自立したいと思いアルバイトに明け暮れていたが、そのなかで起きた暴力事件だった。
補導委託先に選ばれたのは、山梨県で煙火店(花火の製造所)を営む、深見静一の家だった。 深見と深見の母まち子、住み込みで働く双子の花火師、健と康と同じ屋根の下で暮らすうちに、円人は居場所を見つけていく。
絶対に期待を裏切らない<いとうみく氏作品
今回も、また、家庭・生育環境が複雑な主人公
と
今回の職人は・・・花火師!!
知らない世界です
祖母との生活から自立しようと真面目に働いていたアルバイト先で
暴力事件を起こし、家庭裁判所にー
試験観察処分となった、主人公鳴海円人(えんと)君
いい子なのよ(泣
なんで、こんないい子が・・・って
円人君に非はないのにーこういう事って、結構あるかも・・・
保護観察処分で委託され先の山梨の煙火店の深見社長と
社長の母だけど、まち子さんと呼ばれている
お料理上手で情があって、さばさばしているおばさんや
住み込みの双子の職人さんほか
従業員の方も個性的で
イメージがしやすいです
深見社長は、気まぐれ的に
まさしく俳優の阿部寛さんのイメージで(笑
深見社長も、職人的にはすごい方のようですが
完璧な人間像ではなく
深見家は、深見家で、これまた複雑な事情があり
これがまたいろいろ絡まってくるのです
円人君からすると
お喋りで、おせっかいで、話を付き合うのが
ちょっと面倒臭い弁護士の岩切さんの存在もいいんです
悪役も登場します
これも、必要ですよね
YAで、中高生対象ということもあって
人生きれいごとばかりじゃないーということを
具体的な描写で伝えてくれます
P184 弁護士の岩切さんが
宗教を信じている訳ではないけど、とお守りを
円人君に渡す場面があります
そのときの
「人生は理不尽」という話には
頷くしかありません
しょうもない駄洒落や、脈略のない話をしてくる
キャラなのか、わざとなのか分かりませんが
いやぁ〜、上手いなぁ〜
と、感心するしかありません
円人君の感情や心の動きが文章化されることによって
読んでいる自分自身の分析?というのかな?
例えば、「うざい」という一言で済ませられない
複雑な感情を、こういう文章で表現できるんだ・・・とか
映画やドラマ、実写化された「映像」で観るのとは違う
「文字」を通して感じられることって
あるんじゃないかな?と思うのです
「車夫」そうだったけど
中高生には、ぜひ、読んでほしい作品です (しいら☆さん 60代・その他の方 )
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