
1945年8月6日、野菊の着物をきて広島へいった光男のかあさんはもどってこなかった。一人ぼっちの光男とかあさんをむすぶ野菊の花。10歳になった光男はかあさんにあいたくて原爆慰霊碑へ。そこに野菊の着物をきた女の人が…。他に5編。

あの「おこりじぞう」を書いた山口勇子さんの作品集ということで手に取りました。
原水爆禁止日本協議会代表理事も務めた山口さんの目は、原子力爆弾投下という地獄に対する怒りと悲しみに満ちあふれています。
直接核廃絶を主張するのではなく、原爆がもたらした悲しみを繊細に丁寧に描くことで、現実を見つめ直そうとしています。
この本のタイトルともなった「かあさんの野菊」は、あの広島原爆で孤児となった光男の、つらい戦後を執拗に追いかけます。
当たり前の生活を壊した、戦争に対する恨めしさを語り続けます。
他の作品も含めて、平和のありがたみを痛感させられました。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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