笑い・涙・怒り――様々なドラマがつまっていいる、学校を舞台とした感動作を集めました。E・L・カニグズバーグ「デブ・キャンプ」、原ひろ子「ものは自らおぼえるもの」、青木茂「三太の動物実験」、西原理恵子「たかぽん」、キャス・ウォーカー「生きるために殺す」、ミス・リード「学校」の、6編を収録。
【内容】
ものを学ぶということをテーマにした作品6編を収録。
・「デブ・キャンプ」 E.L.カニグズバーグ
・「ものは自らおぼえるもの」 原ひろ子
・「三太の動物実験」 青木茂
・「たかぽん」 西原理恵子(マンガ)
・「生きるために殺す」 キャス・ウォーカー
・「学校」 ミス・リード
【感想】
いろんな「学校」があるなあ、と感心してしまった。
印象的だったのは、アメリカの子どもたちが1つの目的のために共同生活を一定期間行う「キャンプ」の話。太り過ぎの子どもたちが集められ、ダイエットするキャンプなのだが、語り手の女子の皮肉な視線がユーモアたっぷりで生々しい。ひねくれた子どもの様子が手に取るように伝わってくる。根性が曲がっているダメな肥満児がどうやって素敵な女の子になるのか…ぜひ、読み味わっていただきたい。
どの話も、あまり裕福ではない人たちの様子が、実に生き生きと描かれている。空き巣狙いの常習犯だったり、給食費が払えない一家だったり、田舎の貧乏な集落の庶民がたくさん出てくるけど、不思議とみんな明るい。デブ・キャンプの肥満児たちは(貧乏で食うや食わずだと、太れないので)そこそこ裕福だと思うが、暗い。私は、この作品群を通して、裕福でも決して幸福ではないと悟った。
ただ、貧乏だから明るいとも限らないのだが、もう何もないと笑うしかなくなるのだろう。くよくよしていても始まらないから、とりあえず空き巣狙いをしてみたり、地元の有力者の可愛がっている犬を捕まえて動物実験をしてみたりして、人生を楽しんでいる。あまりいい方法ではないけど、いじけて影で人の悪口を言っている金持ちよりも、ずっと健康的だと思えた。ただ、合法的ではあって欲しいが。 (渡”邉恵’里’さん 30代・その他の方 )
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