なんの事情かはわからないが、ある日お母さんが
「そろそろ、あなたを、おじいちゃんに会わせたいわ」
と言ったことから、ジャネットは、お母さん方のおじいちゃんのところに行くことになります。
母親から聞いていた話では、とても楽しそうだったので、期待をしながら。
でも、待っていた現実は、古ぼけた家と荒れ果てた庭、壊れかけた小屋や柵でした。家畜やペットからも歓迎されているようには思えないジャネットは、失望するのですが・・・。
ここのおじいさんは、こだわりがなく、物事をそのままに受け入れるユーモアのある人です。おじいさんの法螺話に魅了されたジャネットは、おじいさんとの距離を次第に縮めていきます。一緒に過ごすうちに、最終的には、おじいさんの物言いを真似して、言い負かすまでになるのです。そして、おじいさんは、そんな孫娘のことを嬉しく思うのです。
淡々とした筋運びですが、読んでいて心温まる作品です。
「おまえが、なにもしてやらなくても」「そいつは、ただおまえがすきなんだ」
と言うおじいさんの言葉が心に沁みます。詳しい事情は一切語られませんが、これは一種の癒しのストーリーであるのかも知れません。
ありふれた帰郷物語のようでいて、どこにもない理想を描いたようにも思えます。