公園の池の真ん中の島に、古い小さな水族館がありました。
そこはもうすぐ取り壊されることになっていて、魚も全部どこかへ運び出されていきました。
いつものように水筒とお菓子を持って遊びに来たかなこは、からっぽになった水族館の中で一人の男の子と出会います。
「帰り方がわからなくなっちゃったんだ」
そう話す男の子『とくんとくん』を、かなこは一緒に家まで連れて行ってあげることにしました。
男の子の家があるという、ひすい湖まで。
かなこちゃんはいくつなんでしょう?
お話のそこかしこに、面倒見の良いお姉ちゃんぶりが描かれています。
正体不明の相手でもすんなり受け入れてしまえる、子供の素直さが伝わってきました。
ひすい湖に向かう途中、とくんとくんはいろいろなものを見ては「とくんとくんって、いってる。いきている○○」と言います。
電車も、花も、木も――。
道中も大量の水を必要とするとくんとくんの正体を知って、その意味がなんとなくわかったような気がしました。
とくんとくん自身が命そのものだったんですね。
かなこちゃんと、とくんとくん。
二人の友情がこれからも続いていけばいいなと思える終わり方でした。