知る人ぞ知る。日本の数学を確立した開祖といわれる「関孝和」のお話です。
時代は徳川綱吉が将軍だったころ。その当時の日本は中国から渡ってきた考え方の数学の考え方のみで、縦書きの漢文で数学を考えていたのだそうです。
ところが彼は独自の発想と研究で、当時見たことも聞いこともない西洋式の数学の法則を編み出したのです。
個人的に理数系の考え方は苦手で、こんな人がいたことも知りませんでしたが、本書は残されていたわずかな資料から考えられた関孝和の人となりがしっかり描かれていて、とても読みやすかったです。
(関孝和は関家の養子になるまでのことなど、あまりわかってらず、なぞの多い人だそうです)
こういう読み物を読むと、数学も面白い学問なんだな〜と、思えるから不思議です。
本書は2017年の「青少年読書感想文全国コンクール」夏の課題図書中学生の部に選ばれた1冊です。
この機会にぜひ、350年くらい昔の日本で新しい数学の考え方を紐解いた人の話を読んでみてください。
またこの作品は、日本の数学の歴史的なお話だけでない、ひとりの男の「生き方」が描かれていました。
好きなもの(関孝和の場合は“数学”)を生涯探求したいかろこそ、他のことにも手を抜かず頑張る。
ただ、「すごいなぁ〜、へぇ〜」ではなく、こういう生き方に共感して、
自分も頑張ってみようと思える10代の子どもたちが増えてくれるといいなと思いました。