お話の奥にある意味がより深く理解できるようになった頃から、「悲しいお話はいやだ」と言って、「人魚姫」のような物語でも読みたがらなくなった娘。
いろいろな感情が芽生える時期でもあり、とにかく今は親子でいっしょに絵本を楽しむ時間を大切にしようと思い、無理に悲しいお話を読ませることはしてきませんでした。
でも、その中には、「悲話」ということを超えて、心に残る名作も数多くあり、「スーホの白い馬」もその1冊だと思っていましたので、与える時期を慎重に待っていました。
そして、ちょうど2年生の国語の教科書にも載っていることを知り、その前に家で読んでおこうと思い、手渡すことにしました。
いつもなら、「悲しかった・・・」と目を伏せてしまう娘ですが、この物語に関しては、それ以上に何か感じるものが大きかったようで、悲しみの中にも希望を見出したときのような力強さが、娘の目から伝わってきました。
我が家では、この夏、娘が生まれたときからずっときょうだいのようにいっしょに育ってきた愛犬が亡くなったばかりです。娘にとっては、スーホに愛犬の姿を重ねる部分もあり、余計に辛いお話だったに違いありません。
けれども、愛犬が今もなお変わらず娘の心の中で生き続けているように、スーホも馬頭琴という楽器として、ひつじかいの少年と共に生きていることを、心の奥深くで感じることができたのかな、と思います。