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私は柳田國男さんの大ファンです。また遠野物語も大好きです。それだけにこの本は興味深く、読ませて頂きました。これはあまりにもインパクトのあるお話です。私はこの本に出てくる赤いかっぱというのがいつまでも脳裏に焼きついて離れません。かっぱと言えば、私は少年時代、地元の井戸でかっぱを見たことがあります。誰も信じてくれませんが、やはりかっぱだと思います。当時、私は田んぼの近くで一人で遊んでいたのですが、井戸から何か変なものが現れたのです。最初はそれが一体何なのか、よくわからなかったのです。けれども確かにどこか絵で見たことのあるかっぱの形をしていましたから、それがかっぱだとわかりました。まったく元気のない不気味な生き物でした。だからかっぱにはとても関心がありますが、このお話は柳田國男さんの世界を見事に描いていると思いました。素晴らしいお話だと思います。
投稿日:2022/08/21
柳田国男さん原作の『遠野物語』を京極夏彦さんが絵本としてまとめたシリーズです。 実は原作の『遠野物語』って、学生の頃にサラ〜っと読んだだけなので、1つ1つ細かく覚えていなかったのですが、遠野の河童だけは身体が赤い。という事を(改めて)知り、その地域性に面白さを感じました。 見えそうで全身の姿が見えない“かっぱ”の描き方、すごくよかったです。 馬の後ろから見たときの、躍動感とかも見応えがありました。 この作品を読むと、妖怪という生き物の分類である“かっぱ”より、“人間たちの方が怖い生き物であると思えました。 遠野に伝わる“かっぱ”の話をオムニバス風に仕上げた絵本でした。文も少なく、絵で見せてくれます。 小学校高学年くらいからお薦めです。
投稿日:2016/08/05
えほん遠野物語シリーズ。 遠野物語に伝えられたかっぱ譚です。 遠野地方のかっぱは赤いのだそう。 それだけにインパクトがあります。 足跡どころか、確保したエピソードがあることにびっくりです。 そして、その処遇も村人たちの思いの結実でしょうか。 そして、誰それの証言という体験談ということなので、 リアリティが立ち上ります。 かっぱの造形は、語りの世界そのままあいまいで、 それだけに存在感がすごいです。 遠野物語の凄さを体感できると思います。
投稿日:2022/03/30
私の世代、昭和30年代生まれであるが、で「かっぱ」といえば、水木しげるさんの『河童の三平』がすぐ頭に浮かぶ。 あるいは、鳳啓介と京唄子の漫才コンビでよく京が相方の鳳に対して「カッパ」と罵倒していたことも思い出す。 その当時かっぱには市民権があって、かっぱというだけでどういう形態の生き物(妖怪?)かということが想像できたものだ。 現代の子どもはどうだろう。 柳田国男の『遠野物語』を絵本にアレンジしてシリーズ化されていて、その中の一冊が「かっぱ」を描いた作品になっている。 「遠野の川には、河童が多く棲んでい」て、この川に棲む河童は「他の土地と違って」顔が赤いという。 こういう時の「赤」はなんとなく怖い。 最初、川のふちに付いた河童の足跡を見つけた子どもの後ろにそおっと佇む赤い影などは本当に怖い。 また別の言い伝えとして、馬にいたずらをしようとして捕まった(その容姿の割にはあまり強くないようだ)河童のそおっと差し出された赤い手は怖いけれど、村の人に二度といたずらをしないと約束して逃がしてもらった話など、なんだかかわいそうになる。 あるいは、村の娘に生まれた河童の赤ん坊の話。最初は怖い話の気配がするが、その子を棄てにいった村の男が見世物にしてしまおうかと悪知恵を働かせるなど、もしかした人間の方が河童よりよほど悪い。 この男に売られることなく、この赤ん坊はいなくなってしまったそうだが、河童であったのかもしれないが、その方がずっと仕合せだったにちがいない。
投稿日:2018/04/08
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