「にちようびのあさ、なにも することがなかったので、ひろしは あなを ほりはじめた。」の一文で始まるこの絵本。子どもって、本当にこんな理由で、突飛もないことをやり始めるんですよね! 子どもの世界をよく表わしている一文だな、と感動したのですが、さらに・・・ちょうど最近、手紙や詩を書くことの楽しさに目覚めた娘の文章が、本当にこのとおりのリズムで、句読点の切り方も、言葉選びも、まさにそのもの、といった感じなのです。以前、みなさんのレビューの中で、お母さん自身が読んだときには、気づかなかったけれど、お子さんが声に出して読んでみた時に、本当に子どもが話すように、句読点の息継ぎも自然で、読みやすく、わかりやすい言葉で書かれていることに気づいた、というようなコメントがあったのを覚えていますが、子どもといっしょに読んでみて、あるいは、子どもが読み書きができるようになって初めて、本当の意味での、絵本の素晴らしさや、作家の偉大さに気づくということもありますね。谷川さんの文章は、余分なものをすべてそぎ落とし、「子どもの気持ちになって」なんていう生半可なものではなく、真実、「子どもの心で」書かれたものなんだな、ということを、我が子の詩を通して教えられたような気がしました。この絵本と出会ったのが、5年前だったら、多分、私はこの絵本のよさが何もわからずに、心に残ることもないまま、忘れ去っていただろうな、と思います。
「あなのなかから みる そらは、いつもより もっと あおく もっと たかく おもえた。」という一文にも、目の裏がジーンと熱くなってしまいました。なんだか子どものころの感覚が戻ってきたように感じて、逆に、今日は窓の外の青空が近く思えました。
そっと見守ってあげている両親もすてきですね。娘にも、穴掘りに限らず、こんな時間を存分に楽しませてあげたいな、と思います。