私が初めて『不思議の国のアリス』を読んだのは、確か高校生の頃。
それまでは、ディズニーのアニメでしか知らなかったアリスの世界。
原作を読んで、次々に展開されるナンセンスな世界に新鮮な衝撃を受けたのを覚えています。
あれからどれくらい時が流れたでしょう。
私は再び、
アリスと一緒にウサギ穴に落ちちゃいました!
しかも今回はなんと・・・わが子まで道連れに!
絵本ナビでこの新訳の「不思議の国のアリス」を見た瞬間、
懐かしい題名と、私が読んだ本とは全然違うアリスの絵に惹かれ
自分の読書用にと図書館から借りて来ました。
一人で読んでいると、隣からぐぐっと子どもが覗きこみ
「何読んでるの?何読んでるの?」と。
9歳のうちの子にはまだこのナンセンスな面白さは理解できないのでは?と思いつつ、
とりあえず一緒に読んでみることにしました。
すると。
わからないところはわからないけれど、
わかる部分はやっぱりとても面白いらしく
気に入った文章は、クスクス笑いながら何度も読み返したりするので
なかなか次のページに進めません。
私は早く先が読みたいのにー!(笑)
でも、こんな楽しみ方も「あり」だな〜とも思います。(子どもにとっても、そして私にとっても。)
子どもが学校に行っている間に、私はこっそり一人で先へと読み進み
それがばれない様にそっと栞を元の位置に戻しておく。
そんなことを何度か繰り返して、私は一足先に読み終わりました。
あ〜、面白かった!!
(もちろん、先に読み終わっちゃったことは子どもにはナイショです。
バレたらきっと、「先に読んじゃうなんて、ズルイー!」って怒られちゃう。)
ラストシーンで、
アリスが目覚めて走り去った後に、お姉さんが妹のアリスのことを考えているシーンがあるのですが
これがグッときます。
昔、高校生の私は、ここの部分もちゃんと読んだのかしら?
きっと、読んでも気にも留めなかったんでしょうね。
親になった今だからこそ、心に響いたのかもしれません。
訳は、現代っ子でも読みやすい文章になっていると感じました。
挿絵も素晴らしいです。1枚1枚が、まるで美術館に飾ってある絵画のよう。
挿絵を描いたロバート・イングペンのあとがきから、この画家が
ルイス・キャロルの依頼で最初にアリスの挿絵を描いたあのジョン・テニエルのことを
心から尊敬していることが伝わってきます。
いずれにせよ、この本は『不思議の国のアリス』を
こよなく愛する人たちの手によって生み出された
スペシャルな1冊なのだと実感できる作品です。
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対象年齢は特に書いていなかったと思いますが、
小学校5〜6年生以上で習う漢字にはフリ仮名が振ってあるようです。
このナンセンスな面白さを余すところなく味わうには、
小学校高学年から中学生以上の人生経験があると
なお良いかもしれません。
プレゼントにもとても喜ばれると思います。