「絶滅」という壮大で少し難しいテーマを、当事者である動物たちが自らの言葉で語る、というユニークな設定にまず心を掴まれました。どこか自虐的でユーモアに満ちた彼らの独白に、子供も私も「どうしてそうなったの?」と夢中になり、絶滅した生き物たちがとても身近な存在に感じられました。
数ある絶滅理由の中でも、特に親子で話題が盛り上がったのは、森に引きこもることで生き延びたコビトカバさんの話です。私たちはこれまで、厳しい環境の変化に果敢に立ち向かう生き物こそが「強い」のだと漠然と考えていました。しかし、一見すると消極的な選択が結果的に種を存続させたという事実に、衝撃を受けました。
このエピソードは、「強さ」や「進化」が一つの尺度では測れないことを鮮やかに教えてくれます。生命の持つ戦略の多様性と、生き残ることの奥深さに改めて気づかされました。
『ざんねんないきもの事典』のチームが手掛けただけあり、面白さの中に確かな科学的視点が光ります。親子ですっかり夢中になり、続編の『もっとわけあって絶滅しました。』もぜひ読んでみたいと話しています。さらに、この本の世界を体験できる「わけあって絶滅展」にも足を運び、彼らの生きた証に触れてみたいと、本を閉じた後も楽しみが尽きません。生物の多様性について、親子で学びを深める素晴らしいきっかけとなる一冊です。