息をつかせぬ展開とは正にこの作品のような作品を指すのだろう。
祖父のルバーブを盗まれた主人公が、物々交換で取り戻す資金を得ていく。「わらしべ長者」を彷彿とさせる展開だが、それだけではない。
作品に出でくるワード「難民」「アフガニスタン」「タリバン」と3つ並んだところで、主人公の少年の現在の境遇や歩んでいきた道のりが透かして見えてくる。
途中で、作者のことを知りたくなり、作者紹介を読んだら、これがデビュー作だということで、そのことにも驚いた。
悲しみを経験したことがある者は、人の悲しみにも敏感であることが多い。悪役も出てくるが、良き仲間や助けてくれる人たちの援助の仕方のさりげなさに心が熱くなる。
そうか、同時多発テロから18年なんだなと改めて思った。その年に生まれた息子が18歳である。
現在、コロナ禍が続く中、子どもたちだけでなく大人もこの作品から元気や勇気をもらうのではないかと思う。
鈴木出版さん ありがとう。