私も10代に読みました。
感受性豊かな頃ですので、衝撃的な作品でした。
そののち、この作品がマスコミに取り上げられ、メジャーなところへと一人歩きしてから数十年の月日が流れました。
息子にもそろそろ勧めてみようかと、図書館から借りてきました。
小さな島で、小さな生き物が誰にも迷惑をかけず、静かに命の営みを繰り返しているところへ、傲慢な人間が土足で踏み込み、ささやかなキツネの家族の幸せを壊してしまうお話です。
この世にあるものは、すべて人間だけがその恵みを享受するために造られているのではないこと。
ほかの動植物との共存を、知恵あるものとして考え、より良き道を探っていくべき使命を与えられていることを強く自覚しなければならないこと。
さもなくば、恐ろしいしっぺ返しをわれわれは受けることになるのだと、今読んでも強く感じます。
戦争を背景に描かれていますが、熊や猪が山里に下りてこなければ、食べ物を得られないニュースを聞く昨今、自分たちで蒔いた種である「地球温暖化」に頭を抱える我々にも耳痛い作品だと思います。
どこへも向けようのない怒り!
という、カバー折り返しの作者のメッセージ文もご一読ください。
何も変わっていないどころか、むしろ悪化してる現状。
作者に恥ずかしい思いがこみ上げてきました。