ページをめくる度に目に飛び込んでくる絵がとても美しく、じっくりと絵を眺めた後に、文章もこれまたじっくりと味わいながら読みました。
学校に行けなくなり、家に閉じこもっていた少女時代のおばあちゃんが、夏休みのひと時を一緒に過ごした絵描きさん。絵描きさんは、行動も、作る料理も、そして麦わら帽子の被り方もちょっと変わっています。そして付かず離れずの距離感で、多くを語らずに、大切なことを教えてくれるのです。
自分が壁にぶつかった時、絵描きさんのような人に出会えたらなぁと願う人はきっと多いはず。
でも残念ながら、絵描きさんのような人に出会える機会はそうそうありません。残念がる「わたし」に、おばあちゃんがかける言葉がとても素敵で、胸を打たれました。絵描きさんには会えなくても、この少女にはこんな素晴らしいおばあちゃんがいます。
自分にとっての絵描きさんとは。ずっと覚えていたいと思う日とはいつだろう。本を閉じた後、じっくり考えてみたくなりました。