書店で立ち読みしてどうしても忘れられず、後で買いました。紹介文にあるように、確かに死や別れは扱っているのですが、その場面がということではなく、全体として静かに染み入り、涙が出る絵本です。お花がきれいな本なので、小さい子も喜ぶかもしれませんが、内容としては大人向きなように感じています。
周囲と比べて劣等感を感じたり、拗ねてみたり。
今いる場所の有難さが分からずに、ただただ飛び出してみたかったり。
子どもの頃、若い頃はそんなこともあったなと思い出されます。
優しさに気付いても、素直に表現できなかった。
きちんと別れの挨拶もできなかった。
そんな心の傷も、大人になると増えてきます。
そして、守りたいものができたとき、かつて受け取った愛を思い出し、返すときが来る。
動かない花の静かな庭の物語ですが、そんな人間の成長と成熟を感じ、自分の半生が走馬灯のように思い起こされる絵本です。何度読んでも私は涙しています。