イタリアの丘に建てられた一つの家が語る100年の歴史です。
石で造られた廃屋にまた人が住むようになった1901年。
それから住人の歴史を刻み続けてまた廃屋になるまでの100年間に、戦争があり、住んでいる家族にも、回りの人々にも様々なことが起こりました。
きめの細かい描写、人だけではなく家の少しずつ改築されていく様に生活感と歴史の臨場感が感じられました。
1999年、家は現代家屋に様変わりして、新しい歴史を刻み始めます。
家にも心があるのだと思いました。
原題は『家』。
ペストが大流行したという1656年に建てられた家ですが、この絵本は1900年から始まります。
定点描写なだけに社会史がくっきりと浮かび上がる作品なだけに、過去にさかのぼって次の作品が出されることを望みたいと思います。