大好きな堀内誠一さんの絵。これはリトアニア民話ですが、フランス民話の「きこりとおおかみ」と並んで好きなお話(そして、好きな画風)です。 お話も起承転結がはっきりしていて、ハラハラしながらも最後まで安心して読めます。
貧乏なきこりのパンを盗んできてしまった小さな悪魔に、
「おわびのしるしに きこりのために はたらいてこい。なにか やくにたつことを やってこい。それまでは、かえってくるな!」と、叱りつける大きな悪魔たち。
おぉ〜、悪魔なのに、人の道を守って、すばらしい!と感激していると、「なんで帰ってくるな、って言ったの? 家族なのに・・・」と、娘の悲しそうなつぶやき。子どもって、本当に大人とはまったく違った感じ方をするものなんですね。
小さな悪魔の怪力振りにはびっくりでした。沼の木を片っ端から引っこ抜くのを見て、「まゆとおに」のまゆみたいだね、と笑ったり・・・。
知恵を絞って、地主をぎゃふんと言わせる場面の爽快感はたまりません! 飛び掛ってくる牡牛たちをひょいひょいとつかまえ、大きな麦の束をのせて、さっさと帰っていってしまった小さな悪魔に、思わず大拍手。
驚きのあまり、「じぬしは ひっくりかえって しんでしまいました。」・・・
「ええ! 死んじゃったの? もう動かないの?」と、娘は2度びっくり。
最後のページにも悪魔たちの愛情がいっぱいあふれています。きこりのために役に立つことをし、やっと家に帰った小さな悪魔が、大きな悪魔たちにたくさんほめてもらったのか、頭をかいて照れているような影絵が、本当にかわいらしく、微笑ましいですね。