空想の友達がいて、主人公の成長とともに去ってしまうという物語が『ラチとライオン』を思わせます。でも、こっちのほうがちょっと複雑。マーシャという女の子に出会って、エリックは嫌いな豆を食べたり、嫌いな?お風呂に入ったりする反面、閉じこもって部屋の物を壊したり。自分の殻を破るには、かなりの葛藤が必要なのですね。両親もそんな息子を寛大に見守っているという感じです。やはり周囲があせらないほうがよいのでしょう。時が来れば、子供は自分できっかけをつかみ、自分で成長していく……そんな子供の力を信じたくなる本です。アンソニー・ブラウンの描く子供の表情も、いつもながら生き生きしていて良いです。我が家の6歳の息子は、エリックがベッドで『まよなかのだいどころ』を読んでいるのを見つけて喜んでいました。