ジョニーは物作りが上手な男の子。ある日、本を見ながら大時計作りに挑戦しようと決心しますが、両親も学校の先生もみな、小さなジョニーに時計など作れるはずがないとバカにしました。
その昔、子供を囲む環境はこんなものだったのだろうと胸が痛んだ作品でした。時代は大戦前後ぐらい、舞台は英国です。父親も母親も、学校の先生までもが、時計作りなど「くだらないこと」「ばかなこと」を繰り返し、大人が子供を見下げる視線でジョニーを扱います。先生の心無い一言のためにジョニーがいじめっ子たちにからかわれ涙するところなどは、親だったら胸が締め付けられる場面。もちろん最後はハッピーエンドですが、いろいろなことを考えるきっかけになった作品でした。
子供の人権に関しては、今現在もこういう環境に置かれた子供たちって世界のどこかにいるんだろうなと。他者を嘲る態度とは、一体どんなところから生まれるのか……振り返るきっかけをもらいました。また、好きなことに打ち込むことの素晴らしさを再確認できたことは、自分にとって一種の救いとなりました。人に迷惑をかけず、好きなことをして日々の生活が成り立てば、人間こんなに幸せなことないですね。好きなことよりも富と名誉を優先し、幸せと勘違いすることは多いと思うので。
作中、手書きのふきだしが何ともいえない雰囲気作りを演出していました。時計の部品描写もすごくいい。子供はこういう組み立て図みたいなイラスト、好きですね。
対象は、少々長めのお話で、学校の場面が登場するので小学校低学年から。地味な作品かもしれませんが、人気絵本です。