【あらすじ】
つるばら村の高原、月見が原の古い山小屋でレストランを始めたコックの卓朗さん。普通のお客さんの他に、不思議なお客さんも時々やってきます。電気もガスもない山小屋で出会った、素敵なお客さんとの、四季折々のお話7編。
【感想】
どれも上品で、素朴で、素敵なお料理でした。
山小屋も、その周りの自然も、卓朗さん自身も、何か不思議な力で守られている感じがステキです。高原の清々しい空気と、素朴ながらも工夫されたお料理、訪れる人たちの温かい心など、余すところなく頂きました。
料理人のお話というと、グルメを追求したイメージがあったのですが、このお話は違います。おいしいかどうかは、腕前よりもむしろ、作る人や食べる人の心の状態によるところが大きいような気がしました。
お客さんにそれぞれ物語があって、お迎えする卓朗さんは、温かくその人たちを受け入れています。そのやり取りを聞いていると、読んでいる私も温かい気持ちになってきます。
後書きに、物語のヒントとなったいろんなことがかかれていますが、この作者はちょっとしたことから物語を作る天才だと思いました。
このお話を読んだ後は、料理を作る時がステキな時間となりました。