アンデルセンの名作「おやゆびひめ」ですが、原作に近いかたちで、じっくりと読んだのは、これが初めてでした。細部にまでわたる描写の丁寧なことに、びっくり。お話もこんなに長かったのですね。(終わりまで読むのに、30分以上かかります。)
でも、物語のおもしろさに加えて、ベスコフの絵の素晴らしさが、子どもの心にも魔法をかけてくれます。娘が小さな頃から慣れ親しんできたベスコフの作品の数々。その大好きな絵で、名作を読めるのは、何よりの贅沢と感じられます。
娘は、最後まで身動きひとつせず、じっとお話に耳を傾けていましたが、本を閉じたあとに「ツバメさんは、どうしてひとりで行っちゃったの? 悲しかった? 本当は、おやゆびひめとずっといっしょにいたかったの?・・・でも、おやゆびひめが、王子さまと結婚して、ツバメさんと遊んでくれなくなっちゃったから?」と、ツバメの気持ちを思いながら、真剣なまなざしで聞いてきたのが、なんともかわいらしくて、私自身もこの絵本に出会えたしあわせに浸りました。