全ページで読んで。
私にとっての「さんぽのき」があります。
いつもそこにある安心感。
周りの風景は変わっていくけれど、
子どもの頃自分が見たときと同じ場所で同じ木に会える喜び。
ただそれだけなのに、心が休まるのはなぜでしょう?
木そのものよりも、その木を通して
見つめていた自分、その頃の思い…、
人は思い出を見つめているのでしょう。
自分が大切なものを失ったとき、
ふといつもの場所にあった木を見上げれば
もうその頃の自分はいないけれど、
その時感じた思い出を抱いて、幸せだった自分を思い出し、
前を向いて歩いていく力にできる気がするのです。
木を見つめる「ぼく」のやわらかいまなざし、
優しい木々のみどり、過去、今、そして未来へ…
読んでいてなんだか涙があふれそうになってしまいました。